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浪越徳治郎先生の指圧(1)

2010/8/21 平島利文(22期)

浪越徳治郎先生は有名人ですが、臨床指圧の名人でもありました。さらに、指圧の創始者でもあります。しかし、浪越徳治郎先生が有名人であることは多くの方に認めていただけるのですが、徳治郎先生が臨床指圧の名人であったことや指圧の創始者であることへの認識は薄く、特に「徳治郎先生が指圧の創始者である」という意見に異論を唱える方も少なくはありません。徳治郎先生が指圧の創始者か否かは、指圧(Shiatsu)を如何様に定義するかによって異なると考えます。

指圧を「指で圧するから指圧」、すなわち「指で圧する手技」と定義するのであれば、徳治郎先生が指圧の創始者とはなりえません。なぜなら、「指で圧する手技」の代表格といえば、“母指圧迫法”であり、日本においても千年以上の歴史を持つ、あん摩の基本手技の一つである圧迫法の中に存在するからです。母指圧迫法は、母指揉捏法とともに按摩の母指を用いる代表的な手技で、母指による漸増漸減圧を基本とし、疾病等に応じ、適した圧加減で全身に施します。「徳治郎先生の指圧」と「あん摩の母指圧迫法」とは、素人目には似ています。しかし、専門的には基本的な操作のみならず、理論的にも異なるものです。横臥位で肩甲間部を指圧するとき、患者の姿勢を支えるのは患者自身でしょうか。それとも施術者でしょうか。本当の意味で徳治郎先生の指導を受けた指圧師であれば「患者自身が姿勢を支えるなんて、そんなの指圧ではない。」と答えます。

手指操作は、圧排動作と把握動作に大別できます。圧排動作は、手を広げて行うのが特徴で、腕立て伏せはその代表的な動作です。ピアノの鍵盤を叩く、ギターの弦をおさえる、拳で殴る動作等も圧排動作です。把握動作は、何かを握る動作で、把握対象物の形状によりその動作は変化し、にぎり・つかみ・つまみ・かぎがたの4種類に分類されます。母指圧迫法に限りませんが、あん摩やマッサージの手指操作は圧排動作で行います。それは、把握動作があん摩やマッサージに不可欠な「なでる」操作に適さないからです。徳治郎先生の手指操作は、すべて把握動作で行われていました。さらに、母指圧迫法では施術者の体重移動等によって生じる作用で圧加減を行いますが、「徳治郎先生の指圧」では、自支を必須とする加圧動作によって生じる反作用で圧加減を行います。このことで、独自の漸増で漸減な垂直圧が可能となります。

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