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鍼にはない、指圧における利点の応用(面、ライン、ポイント)

2024/4/11 塾指圧プラクター塾長 小野田茂

指圧界には、長年にわたり浪越徳治郎先生を師と仰ぎ、浪越指圧を海外、国外を問わず命の果てるまで普及してこられた、または、現在進行中のベテランのレジェンドの指圧師が、何人もいます。

  私は、その先生方を師と仰ぎ、指圧の研磨に、いそしんできました。其のレジェンダの一人として、何回となくテレビに出演して、指圧を世に広めた先生の筆頭が、稲場先生です。
ためしてガッテンというNHK 番組で、指圧の時番がありました。先生の実技指導が放送されて、盛り上がった指圧界でした。
その録画を私は、稲場先生から送ってもらい何回も何回も見ました。その中に針におけるポイント重視の治療に比べて、指圧も鍼同様の効果を期待できることの証明、そして指圧の利点である機関銃掃射よろしく面に対して何点でも圧点を見つけて圧するというプロであれば、無意識にやっていることを素人にもわかるように、丁寧に合点と証明された貴重な番組でした。
硬結がある部位をポイント治療することより同筋肉をまんべんなく施術する方が、良い効果が期待されるという結論を、打ち立てたのでした。確かに同じ神経が走行していますので、面治療の利点を生かすことはプロであれば、無意識にやっていることなのでした。それを特にベテランの先生方は、流れ押しという筋膜操作の効果が期待できる手技を用いて、面治療をしているのでした。この手技は、徳治郎先生直伝で習った先生のみが今現在使用している実践の効果のある手技です。ただ虚実理論における実の時の4禁(揉まない、伸展しない、強圧しない,たたかない)を熟知しなければなりません。
同筋肉には、同神経が支配しています、作用も、勿論共通していますので、経絡の重要ポイントがある『筋全体』を重視する方が、快刺激のポテンシャルが上がるという極々理に適う結論です。
具体的には、筋をゾーン・ライン・ポイントに分けて、端から端まで掃射するように細かく圧し、締めくくりとして重要ツボの1点に持続圧をかけます。
大半は『人文字圧』ですが、この最終ポイントは『重ね母指』。もちろん、どんな場合も垂直圧が決め手です。

人文字

重ね母指圧

このシンプルな方法が体を快復へと導く活性剤になることを、長年の患者さんとの接触を通じて確信するのがプロです。ただ、「シンプルだから、誰でもすぐにマネできる」とはいきません。『効く圧』には、手技療法士の知識と経験が詰まっています。ベテランが、無意識に使う手技が流れ押しです。この使い分けが、経験を積むことによって無意識に判断できるようになります。
要は、どう圧するか?
指圧とは読んで字の如く、指で圧す療法と思われがちですが、実は『体全体の傾き』で圧を調節します。  また、圧の安定をはかるカギは、小指です。
親指ではなく小指を意識すると、自然と両肘が両脇に寄っていきますが、『脇を締める』ことで僧帽筋などの背中の筋肉を無駄に使わなくなり、圧への集中力が高まります。
背筋は瞬発力で優位ですが、持続、継続に難があります。反対に、体の前面の胸筋には、瞬発力はないものの、持続力に優れています。
体幹を使って圧を微妙に操作するテクニックで局所の痛みを和らげるだけでなく、全身が心地よくほぐれて軽くなる感覚を生み出すのが施術の極意です。
それは温泉に浸かった時の気持ちよさにも通じ、体がよい方に向かっていくという実感を味わえるからこそ、再び試してみたいと思うわけです。
痛いところを中心に、特定のポイントに圧をかけるのは本来、物理療法士が得意とするミクロ治療です。指圧は指から伝わる感覚をもとに刺激を配分し、全身のバランスを整えるマクロ治療。
全体を俯瞰できるようになって初めて一人前といえるでしょう。
一筋肉を面 ライン、ポイントとイメージして広範囲に圧を入れる。
流れ押しを効果的に使用して筋膜治療をした後に一点圧を入れる。
この辺をうまく使い分けることが、無意識に出来れば、指圧で食うことを可能にします

前脛骨筋をまんべんなく面ラインポイントを考慮して施術すると三里の効 果が得られます。

塾指圧プラクター塾長 小野田茂


この記事にはダウンロード可能なPDFファイルがあります

【PDF】鍼にはない指圧における利点の応用(面、ライン、ポイント)

こちらのPDFは印刷向きに2ページにしたものです。
小野田先生の許可を得て黒澤が組版をいたしました。

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印刷物の共有も可能です。素晴らしい資料ですので、ぜひ周囲の指圧師仲間やクラスメイトに共有ください。

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