イベント報告連載
指圧セミナーin japan
日本指圧専門学校同窓会主催の指圧セミナーが新しく再建設された日本指圧専門学校内の道場において9月1日と9月2日の2日間、行われました。
開催にあたり同窓会会長 大崎先生、そして私との橋渡しを開催実現のために尽力を尽くしていただいた阿部先生に改めて感謝いたします。
参加者は、在校生、卒業生のミックスで、第一日目約30人、第2日目は約35人と教えるには、丁度よい人数が集まりました。
講師として、スペインマドリッドで、指圧治療所と日西指圧学院を通して日本の指圧を普及している、25期卒業の小野田茂が、担当しました。
助手として、マドリッドで長年生徒に浪越指圧を教示してくれたスペイン語と英語の堪能な浅香先生、そしてベテランの指圧師重森先生が引き受けてくださいました。
第一日目は、首の問題(スマートフォン症候群)第2日目に腸腰筋の左右のアンバランスを腹部治療でどう対処、そして処置するかというテーマを中心に講義を行いました。
ここ20年前まで国、地方、そして気候、食養により、各区域(地方)には、各区域の特徴的な諸症状や病気が、存在していました。
しかしグローバル化された今の国際社会では、同じ病名、そして諸症状が、お国、習慣が違っても各国の人々に共通して表れる傾向が増してきました。
ここ20年で世界中に普及したスマートフォンやPCの使用により、人類にとっていいのか悪いのかは別にして、肉体的症状すなわち痛みや不快感は勿論のこと、不眠や倦怠感を筆頭にして、自律神経のアンバランス、すなわち精神的症状まで、むしばむようになりました。
もっと断定的に切り込めば、人間の奥底に淀む、自己免疫力を極端に消耗そして減少させ、アレルギィ―を筆頭に、はては癌までもが医者の努力をあざ笑うようにまぎれもなく増加の一途をたどる原因を、まき散らすようになりました。
陽気な国と言われているスペインでさえも自殺者が増加して、学校崩壊なども日本と似たような現象を起こしています。
私見を述べれば、ひと昔前は、日本人と西洋人の指圧の仕方が、まったく異なっていました。しかし現代社会の指圧治療は、症状に起因するものが共通という事で、意外にワンパターンの指圧テクニックである程度通じる真実があります。
以前は、とくに大きい表面にあるアウターマッスルを治療のベースにしてきたものが、現代では、特に奥にあるインナーマッスルに届く指圧が、必要になり指圧のテクニックも変化しなければならない現実が生まれてきました。肩こりという言葉が、一般的であったのが,今では、首コリという言葉が世間一般に広がってきました。
すなわち圧の方向性、圧の浸透性、圧の持続時間を考慮したテクニックが必要になってきました。ヒィジカルペインからメンタルペイン重視の治療に変化してきました。これこそ指圧の十八番と言えます。
急速な世間の変化が、指圧界にも訪れたのです。まさしくイノベーション指圧の到来です。
指圧界でさえも、現状に合う指圧のテクニックの追求が始まりました。龍宮城の浦島太郎では、昭和の遺物になってしまうのが、関の山となりました。
指圧には、未来があるとスペインの生徒にいつも言っています。人間の能力が作ったテクノロジーですが、そのテクノロジーが進歩すれば、するほど超原始的な療法である手当てが、人間には必要になります。
徳治郎先生は、浪越指圧の特徴は、前頚部と腹部の指圧にあると言っています。すなわち胸鎖乳突筋と腸腰筋のことを言っています。
あと一つ下腿外側の指圧すなわち前脛骨筋の指圧を付け加えれば完璧です。そして上虚下実(頭寒足熱)の基本指圧をマスターすれば完璧です。
そして後頭下筋群の位置する後頭骨部を調整指圧をして、鎖骨下筋も開放する。
この辺を重点的に指圧でバランスを整えれば、首の指圧と腹部の指圧のレッスンは、OK です。
付け加えれば、他の手技にない指圧だけの特徴は、思いやりの心、すなわち母心のある治療です。この母心が、ストレス社会の患者さんのお助け人になるのです。
この辺を今回のセミナーにて伝授したかったのですが、どこまで通じたでしょうか。
2日目に恩師であるレジェンダ稲場啓吾先生が、セミナーに遊びに来てくれました。全くもって鉄人稲場です。今回は、膝の手術を受けたばかりで絶対安静と聞いていたので、感謝は、勿論のこと、少々熱いものが、こぼれ落ちそうになりました。
またの機会があれば、いつでも皆様とお会いして、指圧を語りたいと思っています。ありがとうございました。
日西指圧学院 院長
小野田茂