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開業日記

  • 2009.08.06
  • 2009.08.06

岩本健一(50期)

この日記は、国試から、開業までのおよそ半年の記録です。一部ミクシィに掲載していたものに、加筆訂正を加えたものです。

私は2代目です。しかし父が廃業してから7年以上も経過し、知名度は消え、引き継ぐ顧客はありません。税務・入出金は、母の担当でしたが7年前に脳梗塞で介護施設の世話になっています。「なあにぃ、青色申告のことぉ?みんな忘れたわぁ」でした。さあて、どうなることやら。

試験会場下見

2008年12月22日

2月21日の国試の試験会場は大正大学ですが、まだ行ったことがありません。そこでルートを調査しました。山手線の上半分は、知らないのです。04:30起床。まだ真っ暗です。05:10自宅を出発。05:25横浜駅発のJR東海道線に乗車。品川で山手線に乗り換えて一駅、田町で下車。ここから都営地下鉄三田線の三田駅まで、上下左右にくねくねした連絡通路を500m以上歩きます。三田駅から乗車し、西巣鴨で下車。駅から徒歩2分で大正大学正門に到着。到着時刻は06:30。所要時間は、1時間20分でした。

01
夜明け前の大正大学正門

帰路は、06:35大正大学正門前を出発。ちょっとルート変更。西巣鴨駅から乗車、水道橋駅で下車し、JR水道橋に乗り換えです。このころ日の出。水道橋から御茶ノ水を経由して東京駅に出ました。そこから東海道線で横浜へ。自宅着08:00。所要時間1時間25分。 2経路を確認。いずれもドアツードアで、約1時間30分程度と判明。ちょっと心に余裕です。帰宅のルートは、東海道線の始発駅から乗車できるメリットがありました。

いつもより4時間早い起床で、自宅で食事。9時半頃に睡魔が、、、襲ってきました。

注:この時には自宅から受験することを想定していました。これが、年を越すと次の日記のように変ってゆきます。

記憶力に問題あり、どーする

2009年1月14日

海馬がどんどん痩せて行く。記憶力が危ない。暗記したことが出てこない。この連休で「俺に来年はない。」と気がついた。だから今年だけの1本勝負なのだ。

安定した心理状況で受検しようと決心した。それに今年は平年の寒さだから、雪で交通遅延の可能性も大きい。昭和11年の2・26事件の時は、都心の積雪は30センチ以上だったんだ。

というわけで試験場に行きやすい場所に宿泊することにした。ネットで「受験生パック」をググッたら、東京ドームホテルが出た。決めた。このパックなら、外部雑音に煩わされないような配慮があるはずだ。どんなビジネスホテルでも、ドアの開閉や酔っ払いがいるのだ。現に私がリーマンだった頃は、九州や北海道でドタドタ騒ぎまわって部屋に入ったことがあるし、真夜中に風呂を使って湯をザーザー流した。

このホテルから1分で三田線水道橋。そこから西巣鴨へ10分。大正大学正門まで2分です。タクシー使っても射程内だ。

国試

2009年2月21日

国家試験。試験が終わって、みんなでパチリ。スポッチャ行く人、餃子食べにゆく人。さっきフラフラ帰宅しました。発表は3月24日です。先の話だなあァ。

02
国家試験会場を出たところで集合

2009年3月8日

昨日は卒業式だった。今月からいろいろ準備を始める。ま、ぼちぼち整理してゆこうと思います。昨日(7日)の卒業式は、緊張で周囲が見えなかったです。何を言ったかも、あんまり確信が持てない。今日は脱力DAYにしました。

2009年3月10日

国試も過ぎ、結果待ち。それまで二週間。趣味道楽の勘を取り戻します。治療院のプランを父に説明する。

「わたしがやるのだから、私が疲労しない設備構造にする」と宣言しました。父は「ベッドなら、膝も腰も痛まない」との見解ですけど。

私は「3年間ベッド無しカーペット床でやってても、膝も腰も何ともないよ」の見解。総論賛成、各論反対。一つ一つ自分の意見を言いたいのが、顔つきでわかる。先週から作っていた、外観図、内装図、床面図で説明した。まあ、納得。だってやるのは、私なんですから。

  • 施術室中央に畳4畳半を敷くこと。ベッドも一つ残す。
  • 専用トイレの増設。
  • 換気扇は静音型を使用。
  • 空気清浄器の導入。
  • 蛍光灯の交換。

2009年3月24日

まずは、合格しましたぁ!ホームページで確認。これからの始まりです。ちゅうぶらりんの気分も段々消えて行くのでしょう。HPでは「通知葉書が届くことで確認してください」と釘が刺されてます。届いて実感がでるのでしょうね。

開業までの準備

2009年4月6日

届きましたぁ、登録済み証明書。今日から指圧師です。やることがいっぱいある。でも桜も満開だし、晴れた日に事務処理はもったいない。雨の日にやろう。

2009年4月4日

8:50町内さわやか清掃活動に参加。その途中、大工の棟梁にバッタリ会った。父母の寝室を施術室に改装する件を依頼した。ちょっと補足すれば、この棟梁のオヤジさんが、今の我が家を作り、そのオヤジさんが、最初の我が家を手がけたという長いつきあいです。

午後は、「練習会に出よう!」と、学校へ。あれっ、入り口が施錠されてる。礼服を着た病理学の先生が喫煙室から出てこられて、ニコニコと「今日は入学式だったんですよ」。私、「がーん」。電話で確認したりしなかったのは、何か出かける理由が欲しくって、色々思いついたまま家を出たからなんです。ぶらりと回った桜の伝通院は、なかなかよかった。

2009年4月8日

棟梁と打ち合せ。あらかじめ概略寸法を出して、俯瞰図を作っておいたので、イメージは掴みやすいようだった。棟梁の今の仕事の余裕を見て進めてくれるよう話した。7月には開院したいと希望を述べた。

工費の話になり、ウォツシュレットと天井蛍光灯、壁掛け扇風機、カーテンを施主で用意した方が安くなる事を説明してくれた。用意してくれれば取り付けてくれるという。

2009年4月24日

日本指圧協会に加入申しこみしていましたが、会員バッチ、掲示用会員証、顔写真付き会員手帳、協定施術料金表A4(掲示用)とB6(携帯用)が届きました。

安心なことに、会費払いこみと同時に、指圧師賠償責任保険2350万円の申しこみが1回タダです。

2009年5月8日

窓枠用サッシの採寸のために、棟梁と業者来訪。

工事開始

2009年6月1日

いつ開始できるやらと、施主(私)が心配するほどのんびりとしてましたが、きょうから工事開始です。今、ぎこぎこトンカン聞こえています。棟梁は、昨日(日曜)まで、神奈川県中部の家作りだったそうな。

03
内装工事3日目の様子。
中央に畳が納まる予定です

2009年6月10日

救命講習に出ました。13:15横浜西消防署に集合。3時間の講習です。参加者は西区の各町内の希望者20名です。講習は、救急隊員3名から直接教わります。

  • 気道確保法
  • 胸骨圧迫法(心臓マッサージのこと)
  • 人工呼吸法
  • AEDの装着と実施
  • 試験

目からうろこの事柄がありました。

  1. 救急車到着まで6分とちょっと。それまで胸骨圧迫により患者の脳に酸素を送る。
  2. 人は無呼吸でも血液の酸素で約6分持つ。だから胸骨圧迫を優先する。人工呼吸が難しければ、胸骨圧迫を継続せよ。
  3. 胸骨圧迫は、母指球と小指球を使う。心臓を100回/分で圧迫し、心臓のポンプ動作を強制的に行なわせる。 >>肋骨骨折が起こる可能性もあるが、事情が考慮されると行くことです。心臓圧迫は、10分で1000回になる。これは疲れました。

横浜市では成人市民の20%を講習修了者にする計画です。そうすれば繁華街の事故でも必ず2-3人が助けになるもくろみだそうです。いまは3―5%くらいとのことです。

2009年6月25日

グーグルマップに自分の住所を入れ、ストリートビューにしたら、表通りから見た我が家が写っていた。ちょうどやや高めの視線です。しっかーし、その画像は少なくとも4年前だ。ストリートビューは一昨年くらいだから、2年前から準備していたということだね。知らずに見えている私の資産。でも古い。

かつて通学中、何度か「天井からカメラが出てる中継車みたいなバン」を見たが、請け負って仕事しているのだろう。写された時期がわかった訳は、4年前自宅Pエリアが、側道として1m削られたのに、Google写真は、削られる前のものだったから。

岩本指圧治療院の看板を掲げたら、ストリートビューのアップデートを求めるんだ。Googleの連絡先知ってる人がいたら、教えてくださいませ。

2009年6月28日

「施術所開設の相談をしたい」と神奈川県庁に電話したら、西区役所を紹介してくれました。権限委譲が進んでるのですとの説明でした。危うく横浜市内をあちこち走りまわるところでした。区役所なら自転車で5分です。電話確認は必要ですね。改装した床面図、免許登録の連絡葉書、地図走り書き、を用意し、メモ用ノートを持って出かけました。4階48番生活衛生課です。

窓口で、これから開設したい旨を話し、別コーナーで打ち合せです。担当者は女性でした。開設の予定日、全床面積、待合室面積、施術室面積、施術室の構造(ベッド数)、一度に何人の患者を施術するのか、施術者は何人か、窓の個数、換気扇の有無、消毒設備、流し台、トイレなどを聞かれ、説明しました。「何ら問題なし!」とのおことば。それらを記入する届出用紙をもらい、記載方法を教わりました。

「施術所の名称は、広告の制限が厳密なので、なるべく具体的な名称がいいですよ。」とのアドバイスもありました。西区は無免許の施設が大変多いのですとも言ってました。あんまり危機感のあるいい方ではなかったですね。担当者が「では、来週また届出の時に、」という表情になったとき、私は気付きました。

「あの、父が同じ場所で8年ほど前まで施術所を開業していましたが、廃止届はでていますでしょうか?」

「あ、しらべてみましょう。お名前は?」

「岩本勉です。」

----(調べに行く)----
「ありますねぇ。廃止はされてませんね。」(とがめる表情ではありません)

というわけで、まず父の施術所の登録を廃止することからとりかかります。

帰宅後の会話>>>>

「おとうさん、治療院は、いつやめたんだっけぇ?」

「えーとね、うーと、あー、(目をつぶって)平成20年!」

「えー、それ去年じゃん。だいぶ前だよ」

「あ、そーか、じゃ、わかんなぁい。忘れたぁ。 だって88歳だもん」

なにかにつけ、年齢を言い訳にします。

「じゃ、廃止は6月30日にして、僕の開始は7月1日からにしょっかぁ」

注:7月1日は、理論的には可能でしたが、だんだん伸びて行きます。

2009年6月30日

新宿御苑前の医療関連用品販売店に出かけた。 顔面枕や、胸マット、手指消毒瓶を購入。

7月1日開業案は延期。夏季大学後の12日頃にしようかな。その晩、臨床実習に協力してくれたO氏にメールし、施術シュミレーションの協力を依頼した。すぐ返事があり、7月1日(明日)に実施が決まった。

04
なんとか出来上がりました

2009年7月1日

当日は、ご夫妻で来訪された。奥様の肩こりを対象として施術。 ロビーでの施術所内の案内から開始。問診、施術説明、施術へと進む。約70分。診察メモは、例の指圧学校様式を使用した。院内はまだ料金表示や、免許証の掲示をしていないので、入館してから室内の印象までの印象を聞く。麦茶を飲みながら、免許証や料金表はどこに掲示したら良いとか、湿度や気温の最適値はどうだろうとか、いろいろ患者の立場で話していただいた。明日は室内を整理する予定。

金曜日は、こんどはO氏本人の予定。大いなる反省は、被術者への姿勢を誘導する時の不正確な言葉、指圧姿勢の不安定、来訪から退出までの間の緊張。秘術者の表情を見忘れること。皮膚の血行の色の確認を忘れること。これらを極力緩和し減らすことが、指圧を受ける人の、ちょっとした不安を減らして行くことにつながると気付いた。さて次は、名刺どう作ろうかなあ。書中見舞を開院案内にしようと思う。

2009年7月3日

O氏来訪。全身指圧ひととおり。90分でした。このリズムと速さが好きだ。緩急自在の達人になりたし。

2009年7月4日

町内清掃に参加。自治会長の奥さんが「治療院始めるの?」と聞いてくれた。「平沼の方に、腰痛で困っている人がいるので紹介しようと思う」といってくれた。お礼を言うと共に、「開業したら、時間、電話を表示します」と話した。開院日、時間をまだ決めていない。父の介護と父の夕食配達営業日を調べる。

開業間近

2009年7月12日

同級生が来たので、ちょうど良い機会なので施術室でお茶。配置なんかを相談してみた。

  • 部屋に落ち着きを 私 > そうねえ
  • カレンダー > あ、忘れてた。
  • 歩行手すり、リハにもいい > へえ、こりゃ考えてなかった。
  • 室温調節 > エアコン旧型だしなあ。予算ここまで。
  • 血圧計 > 電子式にしょっか。
  • 体重計 > あればいいというレベルだよねえ。
  • 貴重品は手元においていただく > 着替えとは別に持ってもらうんだね。

うーん、なるほどなぁ。早速明日から用意しよう。アリラン亭で、ホルモンをたらふく食べた。2年ぶりかな。開業時間を、午後2時開始~8時終了。日曜、水曜、祝日は休業と決めた。

2009年7月16日

近所の高校のむこう側にある看板屋さんに電話して、入り口看板の相談をしてみたところ、ちょっと離れた、神奈川区反町にある看板屋さんを紹介してくれた。そこに電話して仕様を説明した。明日下見。

2009年7月17日

看板見積もり届く。デジカメで合成した完成図がある。価格は、福沢諭吉2人と野口英世1人。すぐお願いした。

2009年7月22日

看板の取り付け工事。30分ほどで完了。この日から、町内の人に施術開始を案内したことになる。開設届は2009年7月22日にした。

2009年7月24日

西役所生活衛生課にアポを取り、午後出向く。父の廃業届と、私の開業届を提出した。書類の記載もOK。10分ほどで終了した。

かくして岩本指圧治療院、スタートです。

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