- 2011.05.24
- 2011.05.24
平成23年5月11日(水)~12日(木)の2日間、浪越徳治郎先生が結成した東京指圧救護赤十字奉仕団として日本指圧専門学校同窓会OB・OG21人(3期生~52期生の男性14人と女性7人)、日本赤十字社東京都支部ボランティア課3人にて、東日本大震災および福島原子力発電所事故による被災者の長引く避難所生活での心身疲労が少しでも楽になるようにと指圧奉仕活動に参加しました。場所は、福島県あづま総合運動公園(福島市)の一次避難所(当日の避難者数633人)。
指圧ボランティア1日目
午前8時、日本赤十字社東京都支部にて出発式、バスにて福島県へ向け出発。東北自動車道のインターチェンジにて1度だけトイレ休憩して、バスの中で各自持参した弁当を食べる。12時15分、福島県あづま総合運動公園に到着。毎日新聞などに告知した赤十字ボランティア指圧の会場は、避難所である体育館から400メートル離れた自衛隊の入浴テント施設近くの県営あづま球場一塁側会議室。日本赤十字社東京都支部から持ってきた簡易ベッド10台を組み立て、東京指圧救護赤十字奉仕団の幟と「指圧の心 母心」と書かれた団旗を設置する。
午後1時10分から50分まで、天皇皇后両陛下が被災者お見舞に御訪問されました。日本赤十字社名誉総裁であられる皇后美智子様より「東京指圧さん、いつもありがとうございます」と、東京指圧救護赤十字奉仕団佐々木重雄委員長(13期)にお声をかけて頂き、赤十字ボランティア活動をする指圧師の意気も上がる。
体育館避難所ロビー横の日本赤十字社医療チーム診療所入口でも指圧が行えるよう椅子を用意し、あづま球場会議室との2会場に別れて午後2時から指圧ボランティアを開始。体育館内放送で「東京指圧救護赤十字奉仕団の指圧サービスが受けられます。」と案内が流れ、待ちの列が出来るほど人が訪れてくれました。待っている方に「あづま球場会議室では、ベッドで横になって指圧が受けられます。」と、もう1つの会場へも案内する。指圧を受けて頂いた方々には、エコノミークラス症候群対策の自己指圧プリントを配布した。
指圧で身体が緩んでくると、地震で家が倒壊した方や津波で家族や友人を亡くした方、福島原子力発電所30キロ圏内に自宅のある方…色々な現状を伝えてくれました。私たちは、休むことなく集中して指圧を続けました。午後5時30分、小雨の中を400メートル離れた球場の指圧会場より、避難所がある体育館の指圧会場へと組み立て式ベッド4台を移動。体育館の指圧師の人数も増やし、終了予定の午後6時から時間を延長し午後7時近くまで指圧を続ける。指圧ボランティア1日目は、男性35人、女性69人の合計104人に受けて頂きました。
午後8時30分、福島市内の宿で夕食の弁当を食べて寝る。
指圧ボランティア2日目
宿で、おにぎりと味噌汁の朝食。午前9時30分、会場へ到着すると昨日に指圧を受けた方々が、開始時間の午前10時前から待っていてくれました。急いで準備を済ませて、指圧ボランティア開始。2日目は、避難所での東京電力説明会や福島原発30キロ圏内への一次帰宅日と重なり出だしはゆっくりでしたが、多くの方々に母心の指圧をすることが出来ました。
2日目ということもあり、朝は散歩していますとか、子どもは避難所近くの小学校へ行っているなどと話してくれました。昨日も指圧を受けに来てくれたら女性が「避難所に来て2ヶ月間ずっと眠れなかったけれど、昨夜はグッスリ寝ることが出来ました。」と、笑顔で話しをしてくれ医療従事者として指圧師として役に立てたことに感謝すると共に、浪越指圧の良さを改めて実感する。また、「来てくれて、本当にありがとうございます。」と言われ、「私たちも、来られて良かったです。」と答えて、行動する大切さを教えてもらったと感じた。エコノミークラス症候群対策の自己指圧プリントを避難所施設内の掲示板などに貼り、残りは配布物コーナーに全て設置。午後1時、指圧ボランティア活動を日程通りに終了して会場を後にした。避難所から東京へ向かうバスに、多くの人たちが手を振ってくれたことを忘れない。指圧ボランティア2日目は、男性31人、女性46人の合計77人に受けて頂きました。
午後2時15分、東北自動車道インターチェンジにて各自遅めの昼食30分間。帰りのバスは、ほとんどの人が泥のように寝ていた。午後6時30分、日本赤十字社東京都支部にて解散式。自己完結型(交通手段や宿泊、食料、水、医薬品、保険などを確保しての活動)の指圧ボランティア活動として、参加者全員が無事に帰宅した。
まとめ
2日目間でボランティア指圧を受けた人の総数は、男性66人、女性115人の合計181人でした。181人の主訴は、肩78人、腰35人、下肢23人、首20人、上肢13人、背部6人、その他(眼精疲労、胃炎、倦怠感など)6人であった。また、指圧施術後の問診により、主訴が改善されたことを確認できた。
避難所生活では腰や下肢の主訴が多いと思われたが、肩の張りや凝りを訴える方が腰の倍以上であった。2ヶ月間以上におよぶ板張りの体育館に布団を引いて寝る避難所生活と今後の生活や地震、津波、原発の事を常に考え続ける精神の不安定などによる心労、睡眠障害、血流障害などにより肩への主訴が集中したと考えられる。
指圧施術後の問診で主訴が改善していたことから、機能低下による生活不活発病やエコノミークラス症候群、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など対して指圧治療が有効であると思われる。引き続き指圧赤十字奉仕活動を通して、避難所での主訴と指圧治療について分析し情報を共有していきたい。
東京指圧救護赤十字奉仕団とは
1983年2月、「指圧で世界平和」と唱えた浪越徳治郎先生により日本赤十字社東京都支部 特殊奉仕団として結成し、日本指圧協会に設置。大島、三原山噴火災害時の避難島民をはじめ新潟・中越地震の避難所などで医療従事者として指圧救護の赤十字奉仕活動をしてきました。平時は、日本赤十字社費確保の一端としてのチャリティ指圧、高齢者への健康増進事業としてニコニコ健康教室の指圧講師、自己指圧の推進と普及指導、献血者への指圧奉仕などの指圧ボランティアとして年間を通し活動しています。
日本赤十字社 福島県支部による東京指圧救護赤十字奉仕団の活動報告http://www.fukushima.jrc.or.jp/files/doc/110513105133_a.pdf
Together for humanity~人間を救うのは、人間だ。
次回、岩手県避難所(6月予定)にて指圧ボランティア活動が決定しています。これからも継続的に避難所等にて活動して参りますので、指圧ボランティア活動をしている同窓生や指圧ボランティア協力ができる同窓生と情報交換したいと思います。
今こそ、浪越指圧の力を合わせて、指圧で世界平和!
東京指圧救護赤十字奉仕団副委員長 月足弘法