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連載・特集 合理的な身体操作のための「プライマリーセット」(12):

無意識シンクロについて

  • 2015.10.31
  • 2024.09.20

金子孝夫(39期)

1-無意識シンクロとは

無意識シンクロとは、単純に言えば「身体の一部を動作させると、身体全体がその動作にバランスするように、本人の意識の介在無しに最適な状態を保持する位置に動く行動」のことをいいます。

この無意識シンクロが起きる前提条件は、身体がプライマリーセットの状態を維持できていることです。 逆に言えば、それなりにプライマリーセットの維持が可能となった状態になって、はじめて無意識シンクロという状態が誘引されるわけです。

プライマリーセット状態になると、身体からブレーキが除かれ、身体の各部位が自由に動けるようになります。つまり身体全体が骨格系支持状態であり、余分な筋肉が働いておらず、身体が自由に動く状態のため、何らかの動作が実行されると、身体がその動作に対して身体が適切なバランスをとるように、無意識状態で身体全体を動かし、身体を最も適切な状態に保持することになります。

この状態を生じる現象を、合理的身体操作では「無意識シンクロ」という造語で呼称することにします。この無意識シンクロという概念こそが、プライマリーセットにおける最大の発見であり、達人や名人と言われる人が、自分の技を他に伝承できない大きな理由であると思えます。

2-無意識シンクロの身体を使った実験

ここでは、外乱(外部から加えられた安定した状態を乱す動作)に対する無意識シンクロの効果を、プライマリーセットを実施状態と、そうでない状態を比較してみます。

(1)プライマリーセットを実施しない状態に対する外乱の効果

  • 軽く両膝を軽く開いて両膝立ちになります。
  • 目線を水平にして、深呼吸をしながら両方の上肢を脱力して垂らします。
  • 外乱を受け持つ人が、対象の人の両肩にそれぞれ手掌をあてます。
  • 外乱により対象の人が後ろに倒れても大丈夫なように、後ろに補佐の人を準備しておきます。
  • 外乱を受け持つ人が対象の人の両肩にあてた手掌を水平方向に押します。
  • 外乱を受けた対象の人は、この力に耐えられずに、仰け反るか後ろに倒れます。(倒れた場合には、後ろにいる補佐の人が受け止めます。)

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(2)プライマリーセット実施状態に対する外乱の効果

  • 両膝を揃えて膝立ちになりプライマリーセットを実施します。
  • これにより、目線は水平よりやや下向きで両上肢は体側に沿っておさまっているはずです。
  • 外乱を受け持つ人が、対象の人の両肩にそれぞれ手掌をあてます。
  • 外乱により対象の人が後ろに倒れても大丈夫なように、後ろに補佐の人を準備をしておきます。
  • 外乱を受け持つ人が対象の人の両肩にあてた手掌を水平方向に押します。
  • 外乱を受けた対象の人は、この力に耐え、プライマリーセットの効果である無意識シンクロ」により姿勢を乱すことがありません。

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