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連載・特集 浪越徳治郎先生の指圧(26):

浪越徳治郎先生の指圧(22)

  • 2011.02.01
  • 2024.09.20

22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

「徳治郎先生の指圧」の必須事項の習得や加圧精度の向上のための習練を行う場所としては、コンクリートの上に薄いカーペットを敷いた5階の道場のような施術者の足場が安定しやすい場所が適しています。しかし、臨床現場において、そこは患者が横たわる治療台となります。

加圧中に患者が咳をすることは稀ではなく、幼児であれば動かないでいることの方が稀です。コンクリートの上に薄いカーペットを敷いた治療台では、施術者の足場の安定は計れますが、加圧による患者への危険性が高くなります。しかし、クッション性を高めれば患者への危険性は低くなりますが、施術者の足場が不安定となり、施術効果への期待は低くなります。私は、この問題を解決するために畳を用いた治療台を使用しています。畳を用いた治療台の各部の構造について概説します。

01

写真上は、1980年の開業当時の治療台ですが、現在も基本的な構造は変わっていません。当時は、和室の畳の上にカーペットを敷き、その上に治療台を置きました。そのため「徳治郎先生の指圧」の必須・非必須の精度を治療台のずれで判断することができました。

02

現在の治療室では、畳はお寺等で用いる畳より安価な柔道用の畳に変え、入り口に段(写真左)を作り、治療室全体を治療台(写真中央)としています。

患者が横たわるシーツには、防水加工前のテント生地を用いています。その下には、クッション性と冬場に暖を取るための一畳用のホットカーペットを敷き、その下に畳を敷いています。両側は一枚の畳を縦切りにし、クッション性を高めるために畳表を二枚重ねています。頭部に位置する部位には、写真のように長枕と普通の枕を重ねて使用しています。

また、室内の環境を整えるために、換気機能付きのエアコン・加湿器・除湿機・空気清浄器・サーキュレーター等を備え、治療室の入り口は、クローゼットドアで全開を可能とし、仰臥位でも眩しくない照明や遮音等にも配慮しています。なお、開業時に購入した一畳用のホットカーペット(写真右)はシーツの下で今日も頑張っています。

03

「一指万物を生ず」は、徳治郎先生のお言葉です。徳治郎先生は、一本の指で欲しい物の全てを手に入れることができると説かれました。「どこで開業すべきか」、「どの様な宣伝をするべきか」といったことで思い煩う前に、「ひたすら指を磨きなさい」と指導されました。

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