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指圧とエヴィデンス

  • 2022.01.21
  • 2022.01.21

小野田 茂(25期)

指圧を長年患者さんに施術していると、人間の身体の神秘に驚かせられることがあります。肉体と精神が一如になってこそ、人間の身体が作用します。気力という訳の分からないものが、人間の身体には、存在するということが長年の治療経験から、実感しています。

しかしこの存在を科学的に証明しろといわれても,私はお手上げです。エヴィデンスといわれても、果たして、この証明が可能かといわれても、一治療師には不可能なことです。

ただただ経験からなんとなく、病気は、所詮、気の病といってしまえば、エビデンスなんて吹っ飛んでしまいます。

結局のところ西洋医学も実は、近年、悩んでいるのが、目に見えるこの頃になりました。それでも、厚生省は、気の存在など認めません。

この辺の矛盾を承知のうえで、これだけは、指圧の勉強をする時には必要だよといった基本的項目を書きつられていきます。

実に単純な指圧療法の基本です。シンプル イズ ライフ。

健康で寿命を全うすることをお手伝いするのが、指圧です。単純であるからこそ続けることの工夫が必要ではありますが。

指圧の病理原理

指圧の病理原理は、次の7つに要約されます。これらの機能が指圧操作によって正常に働いて調和して生命力の賦活となり健康長寿が、保たれます。
1、 皮膚機能の活性化
2、 体液循環の促進
3、 筋組織の柔軟化
4、 骨格の矯正
5、 神経機能の調和
6、 内分泌の調整
7、 内臓器官の調整

指圧療法の特徴

1、 手指だけを用いる
手指だけを用いて、いつ、どこにおいても施術ができて、機械器具類は、一切使用しません。
2、 診断即治療
全身の指圧操作で、直ちに皮膚や筋肉の状態を感じ取り、その状態に応じた操作が、即決に治療の効果となります。
3、 副作用がない
指圧は最も自然の理にかなった手当てですから、薬のような副作用は、一切なく心地よく受けられ、たとえ、凝っていても快痛を感じて、根本からほぐれて楽になります。
4、 あらゆる年齢層に適する
幼時から高年者まで、体に適した指圧ができます。幼児から指圧を施すと体質が早期に改善でき、成人には、成人病の予防となり、中高年層には、老化現象の予防になります。
5、 健康のバロメーター(予防医学)
指圧を受けていると自分の体の調子がいつもわかり、疲労を持ち越さず、病気の予防ができます。
6、 お互いに溶け合う
お互いに指圧をすることにより呼吸が合い、スキンシップが芽生え、いたわりの心、思いやりの心が指を通じて、心のふれあいとなって指圧の効果が生まれます。
7、 全身を指圧する
体の状態によって定期的に全身を指圧することによって体のバランスが取れて、健康体を保つことができます。

指圧治療は、主に手掌部及び、指腹(特に親指)を用いる手技療法ですが、中には、肘、拳、膝等を使用する治療師もいます。しかし厚生省の指導項目には、手指の使用と記されています。

第3の医学として予防医学が、あげられます。予防医学の筆頭が指圧治療です。

スマートフォン症候群、半健康症候群、エコノミー症候群等、ここ四半世紀の間に科学が異常に進歩して、人間の体の作用が、追いつかない状況で、私たちの身体は、まさに瀕死の状態です。

子供たちは尚更、深刻な状況が、予想できる今日、指圧の存在は輝きを増すであろうことは、想像ができます。日本の年間自殺者数の増加は、何を意味しているのでしょうか。

健康5原則

我々が、日常、健康で快適な状態を保って生活をするには、ただしいるルールを守って軌道に乗せることが一番大切です。それには、次の5原則のバランスを指圧によって維持させることが健康長寿の秘訣です。

この健康5原則は、浪越徳治郎先生のお言葉です。人間はいかされている。

そして人それぞれ神様から与えられた命があります。この命という運命を素直に受け止めて、授けられた命を全うしようという実に明快なる、教えです。お医者さんが、昔昔、食欲は、どうですか。よく眠れますか。この2つの質問を最初に患者さんに問診していたのが、今では全くなくなりましたね。まさにこの2つの問いかけは、まったくもって理にかなった問診といえます。

患者さんの顔も見ないで、血液検査の結果を診るお医者さんが多くなったのもどうなんでしょうか。ファーストインスピレーションは、顔でしょうに。顔の元気具合を観察して、声の張り具合を聞いて、魚の目利きじゃないけど、目の輝きを診て、健康具合を判断する医者が、今では、皆無になりました。

腹診を試みる医者も皆無の状態です。何しろ触らない。検査結果を重要視して、まさに患者さんの身体から湧き出る気を診ることが、できない医者に限って、薬剤投与をバンバンして、こんな医者程、いい医者だと言われる世の中は、昔の葛根湯医の話と全く一致するのでした。

単純明快な5項目、この5項目を一生続けて、週一回の指圧、まさに医者いらずの人生です。

1、 快食
バランスの取れた食事を毎日とって、食事が不規則にならないようにする。食事をとる時には、イライラしないでゆっくりと楽しい雰囲気が大事です。腹八分。
2、 快眠
常に眠る時間と起きる時間を決めて十分に、ぐっすり熟睡するようにします。床に就いたら急速に眠りに入り熟睡に達して、徐々に明け方から目を覚ますのが最も理想的で、脳神経、体の器官、筋肉も休まり疲れが取れます。
朝は、元気100パーセントが理想の身体です。
3、 快通
快通とは、毎日、一回、定期的に正常な便通があることです。常に内臓の働きを整えて、便秘や下痢にならないようにします。
犬が、朝いちばんお散歩で、いつもの通り、大と小をします。飼い主は、この便通の状態を診て、犬のコンデションを判断する。この毎日の便通が、気力充実の一日を約束します。
4、 快動
人間は、自分の持つ仕事に打ち込んで目的を達成するまで努力をして、仕事に生きがいを感じることです。そして絶えず創造力をもって新しいことを生み出すことが、快動です。
8時間の睡眠、8時間の労働、8時間の食事を含めた自由時間
規則正しい一日が、健康体を作ります。
5、 快笑
人間だけに顔面に笑筋といって笑う筋肉がついています。ユーモアを介し、愉快に腹から笑える人生ほど楽しいことはありません。笑うことによって横隔膜の上下運動がおこり内臓の緊張が、ほぐれて、ますます、腹から笑うことができてます。一笑一若、一怒一老といいます。大いに人生、笑って過ごしましょう。

浪越徳治郎先生は、特に笑うことの重要さを常に推奨したカリスマ指圧の先生です。笑うことは、すべての人を幸福に導きます。一笑一若 一怒一老 まさに芯をついています。

指圧療法創始者である浪越徳治朗先生のスローガンをお送りいたします。

指圧の心 母心 おせば 命の  泉湧く

私ぐらいの年の人は、桂小金治のアフタヌーンショウで、一躍全国版になった徳治郎先生のワハッハを思い出すのでは、ないでしょうか。

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