- 2016.10.03
- 2024.09.20
イスラエル指圧協会の招待で9月21日から24日までイスラエルに行ってきました。イスラエルと指圧、何かぴんと来ませんが、調べてみるとアメリカからユダヤ系の人が移民した背景を考えれば、指圧があってもなんら不思議はありません。
とかくイスラエルと聞くとパレスチナとの関係や隣国の情勢などを考えて危ない国と妙にインスピレーションがわいてしまいます。確かに到着後の入国のイミグレーションでは一人ずつ、滞在目的、滞在場所、滞在期間、かなり厳しく質問されました。
しかしテリアビブ国際空港を出ると、ヨーロッパと言うよりミニ東京といった感じで、大きいビルが建ち並び、車も多く活気に溢れた大都市でした。テルアビブの綺麗な海岸沿いにあるPRIMAホテルまでの約40分の車の走行で、警察官及びパトカーを一切見かけませんでした。頭に植え付けられたイスラエルの印象が、怖いというイメージで一杯でしたので、平和そのものといった街の雰囲気には少々驚かされました。
主催者の指圧の先生CALISAR(カリサール)さんが言うには、イスラエルは年間を通して、海岸でゆったりバカンス、エルサレムの巡礼,死海等に訪れる観光客は、半端の数ではなく、治安警備、システムにはものすごいお金を投資しているようで安全率は、世界のNO10に入ると言っていました。
確かにゴミが落ちていません。海岸沿いをジョッキングする人の数も半端ではなく、ただただ黙々と走っているイスラエル人は、知的で勤勉そうに見えました。たくさんのIT産業があり、観光客が押し寄せ、その上イスラエル人が健康には、お金を投資するメンタリティーを持っている人種だそうですので、指圧がイスラエルの国に入り込んだのが約50年前と言うことですので、招待されて改めて合点しました。
到着日は、ホテルの前にあるテリアビブの海岸で軽い夕食です。大会の主旨と授業内容の確認で終わりました。スペインも地中海に面しています。今飛行機で5時間の距離のこの海も地中海と聞くといまさらながら、海は広いな大きいなの童謡が出てきそうでした。
翌日の大会会場は,キブツ(農業共同体)の一角にある催事場を借りて行われました。
参加人数は120人前後でイスラエル指圧協会の会員でほとんどがプロとのことでした。
内容は、浪越指圧の首(頚部)の治療がリクエストされていましたので、午前中は、頚部の虚実の観察で、主に遠隔操作による反射ポイントの見方を教授しました。
120人の参加者のほとんどが経絡指圧、及び増永静人先生の禅指圧系の学校で習った指圧師でした。この系列の指圧学校出身の元生徒達は、自由奔放な指圧のスタイルで、まことによいのですが、施術時の自分の背骨の障害を守る姿勢を習ってこなかったみたいで、無理な姿勢で指圧をしている人が目立ちました。俗に言う顎が施術中に上がってしまう姿勢です。その上、指圧イコール畳での施術の固定観念があり、膝の障害を持った参加者が目立ちました。ベッド使用を薦めるとオリエンタルはやはり畳で勝負が圧倒的でした。
参加者の半分以上が腰痛で悩まされている実態に少々驚きましたが、治療師が健康な体でなかったら患者さんはいくら良い治療をしても良くならない、と言うスピーチを投げかけましたが、どこまで納得したかは疑問です。
通訳は、最初日本語、ヘブライ語、英語、最後はスペイン語といった感じで初めはどうなるかと心配しましたが、指圧は言葉は要らないの結論に達したようで、講義は、次第に良い方向に流れだしました。
今回の講習会にイスラエル大使館から参事官兼医務官の藤尾耕三先生が来てくださり午前中の講習を見学していただきました。早速レポートを書いていただき地元のスペイン日本大使館の広報に送っていただき指圧の広がりをスペイン大使館の文化担当のお役人に再確認してもらいました。日本の外務省にもイスラエルの指圧講習が報告されたようです。藤尾先生は大変フレキシブルな頭を持っているお医者さんで前任地はアフリカだったようです。
こちらでも携帯電話の普及で、案の定スマートフォン症候群の患者さんが多いようで、30代を中心にして頚部、肩の痛みや不快感の症状を持った患者さんが多いようです。
高校生のスマートフォン依存症が増加してその悪影響かこの地でも、日本と同じようにすぐ切れる若者が増加しているとのことでした。
イスラエルは、徴兵制があります。女子は2年間、男子は3年間の全国民の義務だそうです。その時に、精神的、肉体的に訓練させられるとのこと、賛否両論はありますが。その徴兵時に、ドロガ(麻薬依存症)、スマートフォンの依存症を断ち切るチャンスでもあるともいっていました。海岸で若者を中心としたジョッキングが多いのも、徴兵で体を鍛えた延長上にジョッキングがあえるといっていました。
徴兵が終わるとほとんどの若者は海外に旅に出るのだそうです。何を考えるのでしょう。旅を終えて帰ってから大学に入る人が多いとのこと、こんな訳もあり大学に入る年齢が高い分、勉強のために真剣な姿勢を持って入学するのだそうです。日本とはちょっと違いますね。
そんな訳で、頚部治療を中心に講義をしました。実際の治療で首の疾患が多いとのこと、実際、スペインの治療所で使用するテクニックを教えました。ほとんどが、プロでやっている治療師でしたので、理解した手応えは感じることが出来ました。あっという間のセミナーでした。
次の日は,エルサレムにいきました。有名な嘆きの壁を触って、何を悟ったか。
イスラエルの指圧講習では、沢山の価値観の違いを学びましたが、パレスチナでは、浪越指圧インストラクターのパレスチナ人がつい最近指圧セミナーを開きました。指圧に国境はなしの実践です。
主催者のCALISAR先生がエルサレムで指圧の国際大会の開催の準備をしているとのこと100パーセント協力しましょうと握手を交わしてイスラエルを後にしました。
ヨーロッパ指圧浪越 代表 小野田茂
イスラエル日本大使館から藤尾先生(参事兼医務官)と開催者カリサール先生
講習風景
講習風景
集合写真
赤ちゃんと一緒に参加したナターシャ先生
エルサレムの嘆きの壁
テリアビブの海岸
パレスチナの指圧インストラクター(belalsoboh先生)と私