- 2021.05.25
- 2021.05.25
指圧フェスティバル2021を開催するにあたって
2021年3月28日に行われた指圧フェスティバル2021を開催した趣旨は、今年度の62期卒業生が、コロナ感染症拡大の懸念から卒業式を学校で行い、謝恩会が開催されないこと。同窓会として、これまで文化部が卒業生を祝うお花見会を開催して参りました。今年はそれが実行出来ないので、それに代わるものとして、24期の金子武良先生と私が主催者として、様々な卒業期の同窓生に指圧師の立場から、卒業生の進路の参考となるように自らの指圧への取り組みを講演して頂こうと言う話になりました。そこで60期の野田千種先生、17期の齋藤良知先生、24期の金子武良先生、13期の佐々木重雄先生、49期の中盛祐貴子を講師に迎えて、指圧フェスティバルを開催することになりました。
49期 中盛 祐貴子
指圧フェスティバル2021に参加をして
60期 野田千種
2021年3月28日(日)の午前中、指圧フェスティバル2021は、日本指圧専門学校の62期の卒業生を祝う会として、オンライン(Zoom)で行われました。今回は多岐に渡る医療関係の先生方が所属する人体科学会からの参加も多く、指圧を知って頂く良い機会になりました。講演は以下の通りです。
□60期 野田千種先生
「訪問マッサージで認知症の方を笑顔に!そして命の泉を湧かせましょう」
入学するきっかけとなった浪越徳治郎先生の笑顔を思い出し、訪問マッサージの現場で実践している「患者さんから笑顔を引き出す方法」の三つを紹介。
①介護ケアのユマニチュード
②ハンドセラピーのタクティールケア
③和顔愛語(仏教用語)
④接し方にほんの少し心配りをすることで生まれる良い感情と、笑顔で結ばれた絆の話。
□49期 中盛祐貴子先生
「コロナ禍で求められる指圧師とリンパ浮腫療法士の役割」
リンパ浮腫療法士資格保持者として、医師、看護師、その他の医療従事者と連携し、チーム医療の一員を目指していること。地域に密着し、生活支援が必要な方への手助けを行える体制を整えていること。指圧師が孤軍奮闘するのではなく、様々な形で患者さんと関わることを提案された。また現在、日本指圧協会をはじめ指圧関係の3団体の役員を兼任し、新しい提案を発信し続け、活動している様子を報告。
□17期 齋藤良知先生
「指圧師の介護現場参入」
指圧師となり、4人の子供を養っていく大黒柱として1日12時間以上がむしゃらに働いていた時代。介護保険法がスタートして、ケアマネ1期生となり、介護現場との掛け持ちで働き方に変化が起きた時代。指圧師の求められる現場が、高齢化社会に対応すべく訪問マッサージが主流の現在の状況を説明。
70歳を超えた今、2足のわらじはそろそろやめて指圧師一筋に戻ることを計画中との事。
□24期 金子武良先生
「指圧治療に必要な事柄・自由診療40年以上」
40年以上培ってきた自由診療で必要な考え方、身体観察を身近な事柄に置き換えて説明。ソフト指圧の効果や診断即治療の意味。病気の早期発見により、医者から一目置かれる指圧師として活躍。土台の勉強が終わった後は、日進月歩変化する医学知識を学ぶことが大切と伝える。
□13期 佐々木重雄先生
「指圧師としてのプロ意識向上を」
浪越徳治郎先生直々に教えを学び、23年間、先生の元で働いたことで知り得た、先生の人柄やエピソードを紹介。亡くなる前2年間毎日指圧治療にあたる。
その他、医者から見放された患者が指圧で回復していく様子や、無月経に対する治療法を紹介。又、臨床で診るべきポイントは、○○病の訴えがあっても、患部ばかりを疑い過ぎず、腹診で真の病態が見つかることがあると説明。指圧で大切なのは、色々と付け加えても、基本の手は抜かず、最後の一押しが効いていると伝授。
指圧フェスティバル2021は、卒業生向けの企画でしたが、様々な角度から指圧師の働き方、係わり方、そして時代背景を知ることが出来た有意義な時間となりました。コロナ禍の今、直接集まれずとも、Zoomを通じ、画面越しに見られた笑顔が心に残っています。今年度も、心は晴れ晴れと、自然な笑顔を忘れずに、顔が晴れると書いて、「顔晴れ!(ガンバレ)」と自分自身にエールを送りましょう。
3月28日の午前に開催した「指圧フェスティバル2021」に参加をして
61期 町田和行
講演の中でも触れられていたように、訪問マッサージが主流となってきた現状の中で、他の医療従事者との連携や、チームとしての支援を求められるケースが、多くなるかと思います。
まさにその事が、更なる指圧の力や可能性を広げてゆくチャンスになるはずです。
これから指圧を生業として社会に旅立つ卒業生のみなさんには、今回の講演が、大きな指針となったと思います。
62期 清水俊一
この度は、私たち卒業生のためにフェスティバルを催していただき、ありがとうございました。コロナがなければ、賑々しくお祝いされていたはずで、なんとなく寂しく感じていました。けれどすぐに、臨床の現場に出なければならないのは、変わりないわけで、かえって現実の厳しさを教えていただいて、得した気分です。皆様に感謝申し上げます。
62期 大前政秀
指圧フェスティバルでは、具体的な技術だけではなく、指圧師としてどんな気持ちを持ち、日々施術をされているのかを学ばせて頂きました。
先生方が現場で悩み、葛藤しながら培われた経験は、臨床経験の全くない私にとって、大変価値あるものになりました。また各分野で活躍されている先輩方がいることも心強く感じました。
今回多くの気付きを得ることができました。ありがとうございました。
3月28日の午後に開催した人体科学会の東日本ユニット大会 平地治美先生による「コロナ禍における漢方と養生」に参加をして学んだこと
49期 中盛祐貴子
古事記に役病(えやみ)の記述がある。 パンデミックと漢方は深い繋がりを持っている。
「疫病というは。四時不正の気によって人病、霊祇邪気のたぐひたよりをえて、人なやます、或いは一郷一州一家こぞって、うつりやむ」梶原性全「頓医抄」より
傷寒論とは、急性伝染病の総称である。例えば、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスの一部など。
コロナ禍での健康問題
・行動制限によるストレス・運動不足・眼精疲労・頭痛・腰痛・うつ、不安感・食べ過ぎなど
なぜ病気になるのか?何らかの原因(内因、外因、不内外因)により、体の表面を守る「衛気(えき)」の働きが弱くなった時に、その綻びから「邪」が侵入することによる。予防は「衛気」を強めること。
気血や臓腑の失調により、体内に六気を生じることがある。この体内に生じた六気を自然界の六気に対して「同気」という。内風、内熱、内湿、内寒、内燥である。コロナ禍の健康問題は、自分で作ってしまっているものも多い。通勤がなくなり、運動不足なのに、食べる量が同じまたは増加し、さらにストレス解消で甘い物を食べ過ぎている人は多い。その結果、体内に「同気」内風、内湿、内寒などが生じる。同気が外界の病原因子と親和性を持ち、反応し病証を形成することを同気相求、和合、引動という。
スペイン風邪が流行した時に、一貫堂医学 森道伯先生が以下の漢方処方で多くの国民を救った。
①胃腸型:香蘇散加茯苓白尤半夏:感冒
②肺炎型:小青竜湯加杏仁石膏:傷寒
③脳症型:升麻葛根湯加白芷川芎細辛:温病
また、コロナ禍において除湿防疫散これは、平胃散(ツムラ79番)の加減法である漢方が適用されて有効である。
民間療法として、ネギ、味噌、生姜湯、葛湯、柑橘類をはじめとしたアロマテラピー、低温サウナや岩盤浴で少しの発汗を促すことも有効である。
以下に傷寒と温病の分類を掲載する。
青い風邪(傷寒) 赤い風邪(温病)
・寒邪 ・熱邪
・足太陽膀胱経 ・手太陰肺経
・皮毛から侵入 ・口、鼻粘膜から侵入
・悪寒、発熱、頭痛 ・発熱、熱感、喉の痛み、口渇、咳嗽
・辛温解表 ・辛涼解表
(桂枝湯、葛根湯、麻黄湯) (銀りょう散、桑菊茶)
・六経弁証 ・衛気営血弁証、三焦弁証
・生姜、ネギ、葛湯 ・梨、リンゴ、大根、牛乳
・冷えやすい人 ・熱がこもりやすい人
同じ邪でも、受ける人の素因により経過が異なる。
六病気の分類と証及び漢方
①太陽病:浮脈、頭項強痛、而悪寒
桂枝湯、麻黄湯、葛根湯
②陽明病:胃家実是也
白虎湯、大承気湯
③少陽病:口苦く、咽乾き、目眩くなり
小柴胡湯
④太陰病:腹満而吐、食不下、自利益甚、時腹自痛、若下之必胸下結鞭
人参湯、桂枝加芍薬湯
⑤少陰病:脈微細、但欲寝也
四逆湯、真武湯
⑥厥陰病:気上撞心、心中疼熱、飢而不欲食、食則吐蚘、下之利不止
四逆湯類、臨機応変な対応
コロナ処方として、「清肺排毒湯」が有効であるが、発症していない人が服用する予防薬ではないので注意!
コロナ禍における養生で大切なことは、下記3点である。
①自分と患者さんの自然治癒力を高める。②養生について学び、実践する良い機会であると伝えて、患者さんと共に成長する。③患者さんの話をよく聞いて、不安を取り除く。
そして、心の平安を取り戻す習慣として、慈悲の瞑想を唱える。
慈悲の瞑想
私は幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように
(以下3回繰り返し唱える)