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指圧による二分脊椎症の排泄障害改善を学会発表

  • 2012.06.16
  • 2012.06.16

村岡曜子(18期 )

6月30日に開催される「第29回日本二分脊椎症研究会」で、私が治療していた2人の二分脊椎症患者の排泄障害改善について、発表させていただくことになりました。会場はJR京葉線千葉みなと駅前の「ホテルポートプラザちば・2階ロイヤルII」です。

二分脊椎症(にぶんせきついしょう)とは、先天的に脊椎骨が形成不全となって起きる神経管閉鎖障害の一つだそうです。出生後、脳神経外科や小児外科によって手術をすることが多いようですが、下肢の麻痺や変形、膀胱・直腸障害による排泄障害などが症状として多く見られるといいます。 ところがこの排泄障害に対して、どこの大学病院でも排尿の場合はカテーテルを使用する導尿を行い、排便の場合は下剤を用いるか、摘便や洗腸で排泄する方法を指導しています。

今回発表するのは18歳の男性と女性です。排便の改善を目指して、2009年と10年に指圧を開始しました。浣腸に依存していた男性の場合は3回、洗腸に依存していた女性の場合は9ヵ月間に63回の基本指圧を施術しました。

浣腸を併用していた男性は指圧法を3回で習得し、その後は自力排便ができています。初回は私が担当し、2・3回目は鈴木林三先生にお願いしました。腹部X線写真では正常に結腸膨起を示したということです。

女性は尿失禁予防に抗コリン剤を使用し始めてからさらに便秘が高じ、洗腸と便秘薬による、下痢便と便漏れに悩んでいました。指圧が10回を過ぎた時点で洗腸を脱し、腹圧をかける訓練を経て、便意も感じるようになりました。

摘便と自力での硬便排出を経て、指圧41回目(5ヵ月後)のあとは長形便が出て、指圧53回目の後は摘便も不要になりました。指圧を始めてから生理時の尿路感染もなくなりました。 指圧施術後1年半を経て、2人とも排便の自立ができています。

幸いなことに私は藤原一枝先生(脳神経外科医)に折に触れて指導いただけますので、指圧をしながら症状によって薬を減らすことも可能でした。

前述しましたが、排便のときこの人たちがそれまでやったことがない“いきむ(りきむ)”という方法で腹圧をかけさせることにより、「自分の力」を引き出す方法を考えました。そのためには、洗腸で腸をすべて空にするのではなく、便を残すことも必要だと思いました。

3年前、東京国際フォーラムで開催された第26回研究会で、「洗腸6年のあと、排便の自立を得た一例」と題して発表させていただいた例に続き2回目の発表です。今回の研究メンバーは次の4人です。

1)村岡曜子(NPO法人基本指圧研究会代表、村岡曜子治療院院長)
2)鈴木林三(日本指圧専門学校非常勤講師、江戸川橋指圧センター所長)
3)藤原一枝(元都立墨東病院脳神経外科医長、藤原QOL研究所代表)
4)山城雄一郎(順天堂大学教授)

演題は「指圧により、洗腸や浣腸を脱した18歳の2例」として、実例に基づいて藤原先生が口演してくださいます。

私は二分脊椎症で排泄障害に悩む方たちへの朗報になりたいということと、指圧師の社会的地位向上に寄与できればと考えて頑張っています。

2010年暮れには私が脳出血で倒れ、現在リハビリ中です。そのため待ってもらっていた二分脊椎症の女性(30歳)をいま治療中ですが、こちらもきっといい結果になると確信しています。またご報告いたします。

村岡曜子(18期)

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