- 2017.05.16
- 2024.09.20
2017年4月1日、4月2日の両日オランダのアムステルダムで開催された指圧セミナーに講師として招待されました。
オランダにはオランダ指圧ヨーロッパ協会(浪越系)、そして幾つかの増永系の指圧連合、および指圧協会があります。今回は、オランダ指圧ヨーロッパ協会の招きで2日間の指圧セミナーを承りました。
会長はベロニカカルバット先生です。カルバット先生は、依然8年ほどスペインのMadridに在住していた時があり、その時私の私設学校であるJAPAN SHIATSU SCHOOL EN SPAINで浪越指圧を習いました。かれこれ約20年前のことです。
それから数年後、故郷であるアムステルダムに戻り、指圧クリニックと学校を開設して指圧治療と、指圧の普及に日々を費やしています。
オランダの指圧の歴史はイタリアと並んで比較的長く、すでに故人となりましたが、デニスビンクス先生が、日本で、日本指圧専門学校(浪越学園)に通い指圧を習得し、後にオランダで浪越指圧を広めたという歴史があります。
同時期に、禅指圧という増永先生の創始した指圧もアメリカから入りこみ、ヨーロッパ第一次指圧ブームが70年代に起きました。
今回は、昨年に引き続き1年ぶりのアムステルダムの指圧セミナーになりました。参加者総数は47名、そのうちの32に人ほどが前回の指圧セミナーの参加者でした。
昨年は、スマートフォン症候群、そして今回は腹部指圧からの大腰筋に対するアプローチでした。
参加者全員が自営業もしくは、勤務先で指圧治療を糧にしている第一線で活躍されるプロフェッショナルの先生方でした。
オランダの大替医療の仕組みを簡単に説明します。
指圧のプロフェッショナルになるにはまず最初に、指定された専門機関で教育を受けます。卒業して正式の治療師になると健康保険から治療費控除が可能になります。日本の柔道整復を想像してください。認定された学校を卒業した後、まず各種の学会(協会)に所属します。この学会は、多岐にわたり指圧,鍼灸、オステオパシー、など東洋医学、西洋医学の学会があります。各学会は、その上にある大きな認定組織に組み込まれています。私の住むスペインンは国の健康保険が完璧にいきわたっていますが、アメリカと同じようにオランダは民間の保険が幅を利かせているとのことです。
この認定管理組織は、民間保険会社とコンタクトを取り、健康保険の適応を決めています。
学会に所属する各会員は、学会の基準を満たす努力として年間、認定組織から認可を受けた講習を計25時間程受講しなければなりません。もし25時間の講習を受ける義務を怠たると、保険を使用する権利が剥奪されます。会員は死活問題ですので、どうせなら実践重視のためになるセミナーを受講しようとするのは当然の結果です。
その結果、セミナーは講師の力量が試されるのは当然のことです。最後にアンケート用紙が参加者に配られます。20問に及ぶ5段階に分けられた満足度の評価を参加者に答えていただきます。そして認定管理組織が回収、判断するといったシステムを取っています。当然のことに講師への評価が悪ければ、次年の講師依頼はないということです。
オランダの保険事情も医療費の急激な増加で大替療法への控除を減らそうという動きが活発化しています。
東洋医学の中でも指圧の保険控除は年々減少傾向に転じています。鍼灸、漢方薬も確かに同様傾向にありますが、中国の影響力があるかどうかはわかりませんが、指圧ほど減っていません。中医学学会でも、指圧の会員は多数いますが、将来は指圧を切り離そうという内部の行動があります。理由としては、オランダの指圧教育にばらつきが多すぎるのがあげられます。指圧学校や鍼灸学校が乱立してかなり勝手なことをしていた事実があります。指圧イコール誰でもやれる癒し系のマッサージの認識が広まったことが原因の一つです。日本の乱立気味の整体や中国マッサージ,カイロプラクティック、ETCオランダでも日本と同じような現実があるということに妙に説得感がありました。
エビデンスのない手技療法が存在、そして氾濫するオランダ。ただオランダ人は誠にまじめな人種ですので、正しい指圧を、経験豊かな指圧の先生が時間をかけて教育すれば、指圧大国になることは言うまでもありません。
正しい指圧指導の重要性が改めて問われるオランダセミナーでした。