連載
プライマリーセットの解剖生理学的根拠
2016/2/13 金子孝夫(39期)
1. 締め腹
- 仙骨を正しい位置に持ってくることでその上にある背骨のカーブが正しく造られる基礎になります。これにより足底全体で体重を受けることが可能になります。
- 腹筋等を等尺性収縮させることで姿勢を維持することができます。
- 腹筋等が収縮するため、股関節が動けないように働きます。
2. 頭項接点伸展
- 重量のある頭部を脊柱と一体化することができます。頭部と体幹の一体化が、筋肉の助けを借りずに可能になります。
- 環椎後頭関節における環椎の2つの上関節面が、それぞれ対応する後頭骨の後頭顆と嵌まり込むことで頭蓋骨と脊柱が構造的に結合されます。
3. 肩甲骨下方回旋
- 胸式呼吸の抑制効果があります。その結果、呼吸は自動的に逆腹式呼吸となります。
- 肩の緊張(力み)を緩和させるとともに、肩関節リセットを容易にするように肩の位置を決めます。
4. 肩関節リセット
- 肩鎖関節~鎖骨~胸鎖関節を基にして、上肢を体幹の骨格に結合します。その結果、上肢と体幹の骨格系支持が完成します。
- 上肢の重量を肩甲骨に停止する筋肉群から解放し、頭部と肩甲骨を分離する効果があります。
5. 腰中心の不動化
- 殿部の筋(中殿筋、小殿筋等)と下肢の筋(大腿四頭筋、ハムストリング等)が余分な緊張をしていないため、股関節の自由度が最も大きくなります。
- プライマリーセット時には股関節の動きは抑制され、股関節の動きは無意識シンクロに同調することになります。
- 腰中心が不動化すると下半身の骨格系支持が完成し、腰を中心として上半身と下半身の相互の自由度が大きくなります。