連載
合理的身体操作におけるDoingとBeing
2015/10/13 金子孝夫(39期)
合理的身体操作におけるDoingとBeingの概念
「Doing」と「Being」と表記してあるように、英語表現のほうが日本語より的確に理解し易いと考えてのことです。この用語は、「合理的身体操作=プライマリーセット」における身体の使い方と従来からの身体の使い方の違いを表しています。
あえて訳せば「Doing=使い方」となり、「Being=在り方」となります。従来からの身体の使い方は「Doing」であり、合理的身体操作での身体の使い方が「Being」となります。
この概念の相違を理解できないと、プライマリーセットの考え方やそれに伴う身体の利用法を正しく理解・実行できないことになるからです。
一例を挙げるならば、「身体の力を抜いて〜」という表現がありますが、身体に入った力を抜くことなど不可能です。(力を抜いた気にはなれますが)これを正しく表現すると「身体の力が抜けた状態で〜」となります。
このように、あらゆる動作の表現が「Doing」で提示されますが、合理的身体操作を学んでゆけば、一流選手や達人といわれている人達が実際にしている動作は、総て「Being」に基づいたものであると理解できるようになります。
Doingとは(一般の身体の使い方は総てこの概念)
- 「身体の使い方」に対する認識が基本となります。
- 身体をいかに効率的・効果的に働かすかということが目的となります。
- 動作を「意識して」身体をコントロールします。
- 身体の姿勢制御は「筋肉系支持」となります。
- 「筋肉系支持」に基づく動作となります。このため、力を生じさせる筋を最も効率的に使うことが目的となります。
Beingとは(プライマリーセットの身体の使い方はこの概念)
- 「身体の在り方」に対する認識が基本となります。
- 身体をいかに自然な状況で働かすかが目的となります。
- 身体を動かす道理に適った姿勢により動作がコントロールされます。
- 身体の姿勢制御は「骨格系支持」となります。
- 「骨格系支持」に基づく動作となります。このため、力を生じさせる筋を可能な限り抑え、姿勢を維持する筋を効率的に使うことが目的となります。
注)「筋肉系支持」と「骨格系支持」については、後の投稿で説明いたします。