連載
合理的身体操作について
1.合理的身体操作とは
合理的身体操作とは、理に適った身体の動かし方をいいます。
つまり、身体を動かす必要のある分野、スポーツ・武道・舞踏・礼儀作法等において、身体を最も有効に動かすために存在する共通の要素を、汎用ルールと呼称しましたが、その汎用ルールに基づいて身体を動かすということです。
そのことにより、合理的身体操作はプライマリーセットにより構成されることになります。
最近ラグビーの五郎丸選手で有名になった「ルーティン」も、プライマリーセットの効果を生かす要素のひとつになります。
2.プライマリーセットの目的
合理的身体操作は、基本的には自らの持つ力を100%発揮させることです。そのためには、下記の2点が必要条件となります。
- 自らの力をロス(損失)しない。
- 自らの動作にブレーキ(抵抗)をかけない。
これらを実現させるためには、プライマリーセットを実行・継続し、その結果として身体を特定の状態に維持する必要があります。
3.プライマリーセットとは
簡単に表現すれば、次に示す5つの要素の組み合わせをいいます。
(1)締め腹
息を軽く吐きながら腹部を締めます。この時、鳩尾を軽く押し込む感じで実施すると良いでしょう。又は両方の尻を中央に向かって引き締めることでも可能です。
(2)頭項接点伸展(頭項接点とは、頭蓋骨と項の合わせ目で、屈曲する部位)
顔を正面に向け、顔ごと目線を力を入れずに停まる所まで下げます。武道等では、「顎を締める」、「顎を引く」などと表現します。
(3)肩甲骨下方回旋(簡単にいえば「撫で肩」のことです)
頭の頂点に紐があり、その紐を上方に吊り上げる感覚で頭を引き上げます。その結果として撫で肩になります。肩を下げて撫で肩にしようとしてはいけません。
(4)肩関節リセット
両肩関節を解剖学的姿位に保つことです。通常の肩の位置から後方やや下方に肩を下ろして安定した位置です。
(5)腰中心の不動化
(腰中心とは、2次元的には仙骨の正中線の真中付近をいいます) 最初は、両膝を揃えて足先が楽な状態まで足先を開いた姿勢を維持してください。(詳細については後述いたします)