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浪越徳治郎先生の指圧(24)  

2011/2/15 22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

一般に肩こりの治療と言えば、病院よりもあん摩やマッサージ等が適し、こりを揉み(叩き)ほぐしてもらうというイメージが強いのではないかと考えます。確かに、硬い食肉を叩いて柔らかくすることは可能です。しかし、こりは、揉み(叩き)ほぐすことによって治療することができるのでしょうか。

こりとは、筋肉が張って硬くなることを指します。その原因の一つに、筋組織への血液循環不良によって生じる物質代謝異常が挙げられます。物質代謝異常が生じる部位は、血管内ではなく細胞内です。血液循環の詳細な説明は略しますが、これらの改善には、毛細血管内の糖質や酸素等を組織液を介して細胞内に送り込み、細胞内の二酸化炭素や乳酸等の老廃物を組織液を介して毛細血管内に取り込まなければなりません。そのため、こりの治療には、血管の総延長は10万kmに及び、その太さは細動脈で直径平均40μm (20μm~100μm)、毛細血管の平均直径はわずか10μm(9μm~12μm)であること。さらに、毛細血管の穴の直径は、赤血球の直径(7.2μm)のわずか60分の1(0.12μm)位で、毛細血管内の血流量や血流方向が一定ではないことを認識する必要があります。

clip_image002_020〔物質代謝順路模型図〕

また、過剰な「筋性防衛」を起こすこりがあります。腹部で観察されることが多いのですが、他部位に生じることもあります。表層に存在する場合(写真)は、一見すると鍛錬した筋肉のようにも見えます。下層に存在する場合は「筋性防衛」を解除しないと観察することさえ容易ではありません。仰臥位で下肢を屈曲させれば、触診は容易となります。しかし、加圧による危険性が増加することを認識する必要があります。

clip_image004_002

徳治郎先生の指圧」による腹直筋の過緊張への対応法の一例を記します。

手掌を腹部中央部へ密着させます。この時、皮膚の圧反射により腹部が“ピクリ”とわずかに反応します。そして、5~15秒位この状態を維持し、徐々に加圧していくと腹直筋に「筋性防衛」が生じます。表情の変化にも注意してください。腹直筋の「筋性防衛」を確認したら、加圧を止め、少々減圧しその圧を持続します。「筋性防衛」が解除されると腹直筋が緩みます。後は通常圧法で丹念に施術していきます。下層に存在するこりも同様の手法で施術していきますが、「筋性防衛」には個人差があり、すべてにこの手法が適応するとは限りませんので細心の注意が必要です。

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