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浪越徳治郎先生の指圧(23)  

2011/2/8 22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

浪越徳治郎先生から「どんなに肩が凝っていても、強く押してはいけない。“ほおずきの芯”をほぐすように、丹念に凝りをほぐしなさい」という指導を受けたのは30年以上前のことです。その当時「強く押せば患者はさらに強く押されることを求め、それは習慣性となり悪循環を起こす」という先生の主張が医学的に証明されることは難しく、患者の自覚症緩和に応じる対症療法が主流から外れることはありませんでした。そのため、施術後の鎮痛効果や快楽効果を売りにする治療院が評判を呼んだこともありました。

しかし、近年の苦痛刺激による自覚症緩和に対する研究や理論的解析、さらに苦痛刺激による症状の悪化を他覚的に診断することを可能とする検査機器の導入により、浪越徳治郎先生の主張が証明されるようになってきました。1980年代のレントゲン画像と2000年代のヘリカルCT画像を掲載します。検査機器の著しい進歩がみられます。

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かつて、腰椎椎間板ヘルニアの診断は、患者の自覚症状と椎間円板や脊髄神経等が写っていないレントゲン画像をもとに行われていました。現在では画像検査技術の著しい進歩に伴い、患者に自覚症状を問わずともMRI画像のみでの診断も可能となりました。

椎間板ヘルニアは頚椎にも生じますが、下位腰椎に最も多く、椎間板の線維輪に生じた損傷や変性が原因で、髄核が脱出して脊髄や神経根を圧迫します。そのため、神経症状出現部位の支配神経を知ることにより脱出部位を推定することが可能です。しかし、神経症状が顕著に出現するのは、脱出した髄核が脊髄や神経根等を圧迫した場合に限られます。治療に際し、患者からMRI画像の提供を受けることを提案します。MRI画像から得られる情報は、診断のみならず直接施術に結びつき、患者の安全を確保した上での治療期間の短縮を容易とするばかりでなく、治療結果を明確に証明してくれる証拠ともなります。

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「徳治郎先生の指圧」による椎間板ヘルニアに伴う諸症状の改善機序は、外科手術にみられる脱出した髄核等に物理的にアプローチする手段ではありません。「飛び出した軟骨(椎間板)を押し込む」といった従来の発想はナンセンスです。椎間円板を構成する髄核は脱出と共に非自己となり、生体はそれを異物と判断して対応しようとします。この生体が持つ異物の処理能力を喚起させる手段が「徳治郎先生の指圧」による改善機序です。

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