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浪越徳治郎先生の指圧(12)

2010/11/16 22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

「徳治郎先生の指圧」では、手指を用いた垂直圧で加圧することを基本としています。そのためには、加圧点に対する移動動作と加圧動作を明確に区別し、操作することが不可欠となります。さらに、自支や把握動作等も必須となります。しかし、徳治郎先生からは私が掲載しているような文言でご指導いただいたことはありませんでした。

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【昭和五十五年、旧治療院にて撮影】

徳治郎先生からご指導いただいたことは、大部分が腹部指圧でした。その内容について概説します。圧法は、掌圧で開始し重ね母指圧で終了します。時間は通常三十分程度、稀に長い時は一時間程度だったと記憶しています。その間は片膝をついた基本姿勢を保つことになります。先生からのご指導は、大方は無言で行われました。上の写真のように、私の手首は先生につかまれ、私の手背の上に先生自身の手を乗せられた状態で、先生の意図される加圧部位に誘導されます。加圧部位での加圧減圧の合図は、先生が私の手掌を引き寄せ引き離すことで示されました。

「もっと体重をかけなさい」と指示されても、手指への体重移動による加圧(母指圧迫法)で対応していたのでは先生の次の指示には追従できないため戸惑いました。先生から施術中の質問を禁じられていた訳ではないのですが、質問も出来ず、偶然上手くいった動作を積み重ね、先生の要求に応じる他に術はありませんでした。結果として、自支や移動動作と加圧動作の区別、さらに、圧迫法ではなく、肘の屈伸で行う反作用(抗重力圧)による加減圧等、即ち任意の時間、任意の圧を任意の方向に入れる「徳治郎先生の指圧」を体で覚えながら理論化していきました。

同期で事務所勤務の寮生だった岐阜県在住の度会先生を紹介します。彼は、徳治郎先生から「下手だな~こうやるんだよ」とご指導を受けた極稀な人物で、徳治郎先生の逸話集が書けるほど先生の交友関係を公私にわたり把握している人物です。当時の私は、自ら徳治郎先生のもとへ出向くことはできませんでした。そのため、徳治郎先生に「呼び出し」をお願いしました。その結果、度会先生には、私を捜し出し目立たぬよう呼び出す役割を担ってもらいました。ある日、徳治郎先生から、今月から給料に治療代を加算しておくからと告げられました。その月から一年以上、治療室勤務の寮生分に治療代が加算された給料をいただきました。

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