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浪越徳治郎先生の指圧(11)  

2010/11/9 22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

指圧の愛好家を名乗る人達から「最初は痛いけどそのうち痛みが治まり、その後の快感は最高」とか「痛くなければ受けた気がしない」という言葉を耳にすることがあります。この機序は、異常興奮や激痛時に脳から放出される脳内麻薬様物質の一種である「ベーター・エンドルフィン」が持つ鎮痛作用と快楽作用で説明することができます。

ベーター・エンドルフィンは、脳から放出される生理的な物質でモルヒネ等の薬物のように強烈な副作用もなく分解も早く自然に代謝される。さらに、モルヒネに比べて6倍以上の鎮痛作用があるため有効に活用すべきであるという意見もあります。しかし、ベーター・エンドルフィンは、生命の存続にかかわるような大きな危険を回避する目的で、この目的を達成するために不都合な感覚を麻痺させるために分泌されるものです。例えば、ガラス片が一面に散らばった場所を素足で走り抜けることは容易ではありません。しかし、火災現場で火の手に追われるといった異常事態では、ベーター・エンドルフィンが分泌され、ガラス片の上を素足で走り抜けることを容易とします。

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写真は、苦痛刺激により分泌されるベーター・エンドルフィンの鎮痛作用と快楽作用を体験する前後の同一人物の肩部MRI比較画像です。詳細な説明は省きますが、後日の画像に炎症を観察することができます。

脳内麻薬様物質の分泌は、単純な手法によっても再現性が高く、心身のレベル向上に役立ちます。例えば、虚弱で無気力な人に一日中「杭打ち」を行わせます。長時間の作業で心身共苦痛を感じますが、さらに、強制的に続けさせると苦痛から身を守るため脳内麻薬様物質が分泌され、「ランナーズハイ」とも呼ばれる状態になり、作業を継続させることができます。このことを効率よく継続すれば、「杭打ち」という単純な作業で心身共鍛錬させることが可能となります。また、結果が認識できない作業を強制的に反復して連日行わせると、健全な人を無気力人間とすることも可能です。これは、オキシドーパミンの分泌に関与すると考えますが詳細は専門家に委ねます。

「スッキリした」と言われても、肩こり患者をいつしかエンドルフィン依存症に導く施術を治療と呼んでもよいのでしょうか。施術者の無知による不可抗力として許されるのでしょうか。「徳治郎先生の指圧」の改善機序とはあまりにも異なります。

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