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浪越徳治郎先生の指圧(8)

2010/10/19 22期 平島利文 4期 石原博司先生監修

医療の法制化により、あん摩やマッサージの専修制度等は廃止され、新たに法文に加わった『指圧』を加えた免許制度や養成学校の新設準備が始まりました。この時点で、国は『指圧』に対するそれまでの解釈を変化させました。この国の『指圧』に対する解釈の変化や各学校の事情等が「徳治郎先生の指圧」の普及を著しく阻害しました。

法制化前は、あん摩師を志す者はあん摩の師匠に一定期間(盲人は二年、晴眼者は四年)弟子入りし、師匠の認可がおりれば、監督官庁から鑑札を得ることができ、あん摩を業とすることができました。いわゆる、専修制度でした。しかし、法制化後は認定された養成学校で、あん摩・マッサージ・指圧師として必要な学課とあん摩とマッサージに指圧を加えた異なる三種の実技を一定期間(晴盲を問わず二年)学び、卒業後の免許取得試験(学課および実技)に合格し、あん摩・マッサージ・指圧師免許を得なければ、あん摩を業とすることができなくなりました。

法制化後、各学校に三種の実技を教育する教員が必要となりました。あん摩やマッサージは歴史も長く、すでに公的な資格であり、実技教員の確保は容易でした。一方、法文用語で『指圧』と定められた「徳治郎先生の指圧」は、歴史も浅く知名度も低いものでした。当然、実技教員の不足が危惧され、その育成は急務と考えられました。しかし、国は『指圧』を「徳治郎先生の指圧」と解釈することを避け、「あん摩・マッサージ以外の手技療法」とか「流派を問わず、指で圧すれば指圧」という曖昧な内容に変更しました。そのため、各学校における『指圧』実技教員の育成は、現実的には急務から不要となりました。さらに、三種の手技の実技授業時間の配分は各学校に一任され、各学校は自らが専門(得意)とする三種の手技のいずれかに大半の実技授業時間を割り当てました。

あん摩専業でも、他の二種の手技を習得しなければ業とすることができなくなったとするのは、あくまで法的な見解で、専業とする手技を習得すれば、他の二種を業とする権利も付いてくるというのが現実となりました。法制化と同時に『指圧』の名称は全国に広まりました。しかし、各学校で指導される実技内容は、この用語を法文用語とした「徳治郎先生の指圧」とは全く無縁な“母指圧迫法”でした。「徳治郎先生の指圧」は有名無実となってしまいました。

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