連載
アンチエイジング(抗老化)
加齢による衰えは避けがたいものですが、なるべく老化のスピードを抑制し、健康状態を維持するのは努力によってかなりカバーすることが可能です。
人間の体内を構成している成分の60パーセントが水分です。その水分が枯れていき、筋肉及び身体の各器官が萎縮し、機能不全に陥り活動が停止し、寿命を迎えるのが一般的な人間の過程といえます。
老化し寿命を迎える、その誰もが迎える宿命をできるだけ先に延ばそうと、いみじくも考えることはあたり前のことです。
日本人の三大死因は、がん、心臓病、脳血管障害だと言われています。
今回は、心筋梗塞、脳卒中に焦点を置いて健康を考えていきたいと思います。
中国(漢方)医学で卒中に陥るタイプをグループ別に見てみると、下虚上実群に属していると言われています。
健康体とは普通、下半身は力強く、まるで大地に根を張るように、そして上半身は力が抜けリラックスした状態、すなわち上虚下実が理想と言われております。
反対の下虚上実をわかりやすく言えば、下半身はフニャフニャ、上半身は悪気の塊(いつもイライラ、カリカリ)で精神的ストレス大のタイプです。
その上呼吸が浅く、いつも胸でいそいそと呼吸をしている人と言えば解かりやすいかもしれません。
そんなことを統合して考えると、気が上半身に上がっている人が卒中に陥りやすいタイプの人と言えます。
それでは、卒中というものの特長を簡単に述べてみましょう。
心筋梗塞は、起床から一時間以内に、脳血管障害は二時間以内に集中して起こることがわかっています。その原因は早朝高血圧と言われるもので、一般の高血圧に比べて、特に起き掛けに血圧が特に高くなるタイプです。
起床時というのは、身体にエンジンをかけようと血圧が上昇します。普通は同時に過度の血圧上昇を防ぐため、血管内皮細胞が働いて血管を拡げ、血圧の安定を保ちます。
所が、この細胞の働きが悪くなると血管が拡がらず、血圧が上昇したままとなり、大事に至る危険率が高くなるというわけです。
この血管内細胞が弱く、早朝高血圧になる可能性を高める因子は次の通りです。
1 喫煙、
2 過度の飲食、
3 肥満、
4 高血圧、
5 高齢(平均40歳以上)
6 上下の血圧差が大きい人(50歳以上で65mmHgよりも大きい)
しかし高齢に当てはまる人達で、この因子をひとつも持たない人はいないのではないかと思われます。
余談になりますが、早朝ジョギング、早朝のジム通い、早朝からのサウナなど、痩せるため、または健康のためと称して実践している中高年にあたる人たちの無理根性が、実は、寿命を縮めている事実も忘れてはいけません。
年を取った人ほど体のエンジンがかかるのに時間がかかります。起きた後グズグズと布団の中にいる人のほうが、本当は身体に良いことをしているといえます。
また、血液の凝固を防ぐため、夜寝る前と朝起き掛けにコップ一杯の水を飲むこともお勧め事項の一つです。
具体的な予防策とは、
(食養も大変重要な予防事項ではありますが、運動予防にしぼり説明します。)
1. ウォーキング
特に早歩き。夕方の1時間をあてる。
体力や脚力の維持はもちろん、肥満・高血圧・高血糖等の方にもお勧めです。
2. 下半身を強固にするための相撲のしこ踏み。
しこ踏みは、両足を肩幅の2倍ほど開脚して、上半身を垂直に保ったまま足を上方に交互に上げ下げする運動です。下半身だけではなく全身のバランスが良くなります。
3. 下半身を強固にするための足首回し。
足首回しは、イスなどに座った姿勢で、片方の手で足首を固定します。そしてもう一つの手で、足の甲をつかみ、ゆっくりと足首を回転させます。右回し左回しを交互に50回ずつぐらいを目途に操作します。足首を柔軟な状態に維持することで、上半身への行動時のショックを軽減することと、血液循環の向上を促進させます。
4. 半身浴
下半身だけ、お湯に浸かる半身欲は、全身浴やサウナに比べて身体、特に心臓へ負担が少ないので中高齢者の方に最適です。
5. 足三里のツボ刺激
膝の皿の側面直下に人さし指を添え、指幅4本下がったところが、足三里のツボです。
胃を丈夫にして身体を温める作用がありますが、また健脚のツボとしてもよく知られています。このポイント、及びこの筋肉(前脛骨筋)の指圧。
三里は、治療における万能ツボですべての治療に使用します。
中年のスペイン人によく見られますが、足が細く上半身がだるまのような(リンゴ型)体型、正にこのタイプが卒中タイプと言えます。
予防としては下半身の筋肉量の維持、すなわち脚力の維持が不可欠です。
スペイン人よりはマシと言いつつ、お腹が出て、特にふくらはぎやお尻の筋肉が落ちたことをふと触ってみたり鏡を何気なく見た時に、実感した、中高年に差し掛かったおじさん、おばさんはいませんか。
塾SHIATSUPRACTOR 塾長 小野田茂