連載
浪越諸先輩の指圧普及の歩み
浪越諸先輩の指圧普及の歩み
手当ての商売が、指圧です。痛い所に思わず手を当てます。この原始的本能が、手当て、すなわち治療の原点です。手を当てるのが、遅いことを手遅れといいます。
この簡単な、コムニケーションを忘れたのが、現代医学の誤りであると一概には、言えませんが、あたっていないかというとそれも一概には言えません。
西洋医学が、明治時代に入り込み、極端な政策で、あっという間に漢方医を片隅に追いやりました。
確かに戦場で、直に負傷兵を実験台にして西洋医学は、進歩してきました。あの頃の世界は、戦争、戦争の日々の歴史だったようです。
医学は、もともと戦場での負傷兵をどうさばくかという実践の場で発展しました。医学といえば、今でも花形である外科医療から発展したことは確かなようです。
西洋医学が、ミクロの世界を突き進んできました。
どんどん専門職の世界に入り込み、世の中が、発展するにつれて、医療器具もひと昔前とは、比べ物にならない、そして高価な器具が、医療を担うようになりました。
その器具を、操作することができるものが、医者として活躍の場所を得るようになりました。
血液検査、エコー、沢山の高価な器具が、手遅れを予防する、という神話が生まれました。
その結果、顔色、顔艶、腹診、触診、視診による第六感等を優先する診断の機会が極端に減りました。
医者としても、精密機械の検査結果を優先することで,誤診の機会が減りました。勘を優先する職人の世界は,とうの昔に消え去りました。
私は、昔から医者の3割が、超優秀で最先端を走る人材で、あとは、少々馬鹿でも医者という職業が好きで、真に熱血漢の輩が、医学に進めばいいんじゃないか、そう、人を助けることが、生きがいの若者が、医学に進めば、いいんじゃないかと今でも思っています。
日本は、医者の学校、私学が多くお金がないといけないので、どうしても投資の分を卒業後に取り返そうという輩が多く、医者イコールお金のイメージが今でもあるような気がします。
その点、ヨーロッパは、国立が大半ですので、卒業してがつがつ金を儲けようという輩は、日本に比べると少ないようです。要は価値観の違いのようです。
今でも、EU諸国の国立の医学部の1年間の学費は、30万円位が相場なはずです。ただ入るより出るのが超難しいことは言うまでもありません。
どんなに西洋医学が、花形でも人間の身体は、そんなに、4Gが5Gに変わるぞーとは、簡単に変わりません。
やはりこの目まぐるしい世界において人間は、この変化についてゆくかというと大方の人間は、零れ落ちてしまします。
自殺者の増加、メンタル系の疾患、現代病といわれる実は人間が作り出した病気、がん患者の若年化等、手当てを求める患者が増えています。
そんな時に指圧という本当に原始的な療法が、結構功を奏しているという摩訶不思議な現実があるということをヨーロッパ人は注目しています。
日本人が西洋にかぶれるように、ヨーロッパ人も東洋にかぶれているといえば、それまでなんですが,もう一度、皆様が健康という定義をあえてこのコロナの時期に見直していただければ幸いです。手当てこそ医学の原点です。今一度指圧の価値が問いかけられる時期がすぐそこに来ているようなコロナ期といえます。
今回は、指圧界の大番頭である稲場啓吾先生(前日本指圧協会会長)がご出演したテレビ番組(ためして合点、お昼のワイドショウ)2本。そして日本指圧専門学校の超ベテランの小林秋朝先生が、2012年に指圧国際大会がスペインのマドリッドで開催された折に、スペインの日本大使館の多目的ホールで指圧の講演会が在留日本人対象に開催された時の映像を用意しました。
稲場先生、小林先生の長年の指圧の研磨からにじみ出たパーフォーマンスと一句一句のお言葉は、大変興味深いものがあります。
指圧の道を歩む我々同志には、大変参考になると思います。この貴重な映像を是非ご鑑賞ください。
ヨーロッパ指圧浪越代表
小野田茂