連載
イタリア指圧セミナー2018
2018年5月25日26日の2日間、イタリア トスカーナ州のチアンチアーノ テルミという温泉の湧き出る避暑地として有名な小さな村のホテルの大講堂で指圧の講習会が開催されました。
その指圧講習会に浪越指圧ヨーロッパの代表である小野田茂がパネラーとして招待されました。5月25日6時間、5月26日6時間、計12時間APOSという指圧協会の会員の皆様にレクチャーをする機会をいただき、浪越指圧を普及することができました。
マドリッドからローマまで飛行機で2時間、空港に迎えに来てくれたイタリアのヨーロッパ指圧浪越の代表であるロベルト先生の車で、約180㎞の距離を2時間で走行。到着が、真夜中の1時、早速ホテルの一室で明日のレクチャーの準備をした後、ベッドに這いつくばり熟睡。
APOSという団体は、ミランに本部がある、会員数約1200人の指圧の団体です。主なメンバーは、増永静人先生の流れを汲んだ学校で学んだ先生たちの集まりだそうです。このような規模の指圧協会がイタリアには、他に2つほどあります。
各指圧協会に属さない独立系のメンバーを合わせると指圧という名前を使用して活動している人たちの数は2万人とも3万人とも言われています。そんなこともありヨーロッパの国々の中で指圧活動の動きが最も盛んな国と言えばやはりイタリアが一番と言えそうです。
今回はAPOS(指圧協会)の41回目のイタリア国内のセミナーです。参加者が約300人の中規模の指圧大会ではありましたが、APOSのメンバーはもとより,オランダ、ポルトガル、フランスなどの外国からの一般参加者も20人近くいたとのことです。
今回のセミナーのテーマは、体のバランスをとるための指圧と関節への伸展運動のアプローチでした。
このテーマを絡めて、今問題になっているスマートフォン症候群の初期症状である肉体的苦痛(肩凝り、筋肉痛)が徐々に精神的疾患に移行してゆく過程において、首の指圧治療が驚くべき効果を表すという真実を実例と実践テクニックを披露してレッスンしました。
実際、若者(男女)の成長期が止まるまでに、既に頚椎のストレートネック化が進行してしまった場合が多く,若年層のコンピューター、スマートフォンの使用過多による精神的疾患の急増が目立ち始めた今、いざ症状の改善を願い、西洋医学に希望を託すのは西洋人であればごく当たり前のことです。
しかし検査能力、薬剤の効用は著しく進化したものの実は、私たちにとってこの手のセクションの解決には、近代医学は不向き(無力)であることが、実際の現実において理解できるはずです。
その無力さを指圧が、どう補うかを指圧のテクニック、哲学を通して2日間のセミナーにて力説しました。
2日間12時間の講習です。どこまで伝わったかは疑問です。しかし指圧を通して手当てが後手に回ると手遅れになるという切実な意味を少しづつ確実に伝えてゆけば、医学の原点である手当ての治療が尊ばれる日がまた来ることを願いつつ、講習を終わらせました。
またの機会を与えていただければ、いつでも、どこにでも行きますという言葉を残して、このイタリアの講習を締めくくりました。
ヨーロッパ指圧浪越代表
小野田茂