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スイス指圧講習の感想

2016/9/9 小野田茂(25期)

スイスのBELLINZONA(ベッリンツォ-ナ)は、スイス南部のティチーノ州の州都でイタリアのミランから車で一時間ほどの場所にあり、イタリア語をしゃべります。山々に囲まれたのどかな場所で、旧市街の3つの城と防壁と城壁群は世界遺産に登録されています。

今回は,この街を本拠地にしているヨーロッパ指圧浪越の加盟団体であるスイス浪越指圧学校とスイス指圧協会の招待で2日間の指圧講習を開催しました。この学校は、かれこれ20年の歴史があり校長のアナマリさん、インストラクターのダーリオ先生とは20年以上の付き合いがあります。

スイスもイタリアと並んで指圧の盛んな国で、今年指圧が正式にスイス国から医療(代替療法)の一環として法制化そして認可されました。指定の指圧学校になったことで、プログラムの充実が必要とのことで、指圧講習と浪越指圧のインストラクター養成のために招待されました。

学校教育に関しては、スイス国は3年間の指圧実技習得を義務づけています。解剖や病理学などの基礎医学は、指定された教育施設で学ぶことが、之も義務付けられています。

実技は、専門の学校、基礎医学は、厚生省が持っている公の学校で学び各学校の基礎医学の修得のばらつきを防ごうという意味があり、誠にスイスならではのシステムです。確かに、指圧には、幾つかのスタイルがヨーロッパにはあります。禅指圧、之は増永静人先生が創設した指圧と言われています。この流れの指圧がヨーロッパでは大半を占めています。経絡指圧とも言われています。

ヨーロッパに無数に存在する大小の指圧教育機関のほとんどこの中に含まれます。私の卒業した日本指圧専門学校は、厚生労働省の認可を受けた浪越徳治郎先生が創設した指圧の正式な教育機関ですが、ヨーロッパでは、私達が本流とする浪越指圧は、少数派に属しています。その少数派の指圧をスイスの厚生省に認めさせたのが、アナマリさん率いる浪越指圧スイス学校です。

日本の指圧は、何々派と言う意識が、国家資格と言うこともあり大変薄いのですが、ヨーロッパでは色濃く残っています。

スイスは、気候的見地からメンタル系(うつ病、精神的疾患)疾患を指圧をうまく活用して治療しています。肌寒く薄暗い期間が大半を占める気候であれば、なるほどと思われます。精神科医や心理学の先生も短期の指圧のクラスを受講して、臨床に活用しているとのことでした。

また世界的な傾向としてスマートフォンの長時間使用による肩こり、ドライアイ、うつ病など即ちスマートフォン症候群などが新しい指圧のターゲットとして、脚光を浴びている傾向がやはりスイスでも見られます。

2日間という短い講習でしたが、2万人弱の人口のこの牧歌的な町にもストレスがあり、スマートフォン依存症の若者が、電車に乗って、街を歩きながら、食事を取りながら、どこにいても、何をしてても、スマートフォンを恋人のように手放さない光景は、やはり異常に見えました。

文明に押しつぶされる人間が溢れ、原始療法の手当ての一種である指圧が、まさに極光を浴びるヨーロッパ。

浪越徳治郎先生の創設した指圧がヨーロッパで再び輝きだしました。面白くなってきたぞーの一言が、まさにスイス講習の感想になりました。

ヨーロッパ指圧浪越代表 小野田茂

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