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近況報告

文京区内公衆浴場活性化支援における無料指圧

2009/6/13 五本木指圧研究所 月足弘法

文京区役所と文京区浴場組合から文京区内公衆浴場活性化の為にと、日本指圧協会へ銭湯での指圧治療の依頼が来たのは昨年の春。銭湯が毎年の様に廃業していく現在において、銭湯の活性化イベントとして入浴者に対する無料指圧をして頂きたいという趣旨である。

文京区内には、浪越徳治郎先生の設立した日本指圧専門学校および同窓会、浪越指圧治療本部センター(小石川2丁目)、日本指圧協会 本部事務局(本郷3丁目)がある縁もあり、日本指圧協会は指圧治療を母心で快く引き受けることとなった。

しかし、文京区の予算から助成されているということもあり、文京区保健所の許可など手続きを必要とし一筋縄ではいかない。まずは、10ヶ所あった銭湯を日本指圧協会の指圧治療院として保健所に登録。もちろん、保健所所員が銭湯まで来て確認するという、治療院開業と同じ手続きで行なわれた。そして、従事する全ての指圧師に対して、「あん摩マッサージ指圧師免許」の原本を提出し登録するという手続きを終えての開始である。

昨年度は、平成20年5・7・9・10月および平成21年1月に、10ヶ所の銭湯内で無料指圧が合計75回実施された。1回当たり男性2名・女性2名の合計4名の指圧師が、16時から21時30分まで銭湯へと出張して指圧をする。従事した指圧師の人数は、75回×4名の合計296名が参加。私は、指圧師の日程調整を手伝っていたので人集めに翻弄されたが、多くの浪越学園卒業生の指圧師の先生方々に会うことが出来たうえに、母心を学ぶことが出来たので苦労ではなかった。

この場を借りてですが、参加および協力して頂いた皆様に、お礼を述べさせて頂きます。また、日本指圧専門学校同窓会ホームページにて、協力の募集をして頂いたことに重ねて感謝を致します。

さて、銭湯での無料指圧は、男湯と女湯に別れて入浴後に簡単な問診とアンケートに記入をして頂き、脱衣所や待合所などで座位指圧を中心に混み具合もあるが10分から15分程度で施術する。

銭湯の営業体型も様々になり、昔ながらの番台形式で風呂の壁には富士山の絵があるところから、入口に受付カウンターがあり男女に別れるところ、半地下の銭湯で上はマンション等の色々な銭湯があるので指圧を施術する場所の大小や客の混み具合も様々。横になれるソファーや小上がりがあれば、症状により仰臥位や伏臥位、横臥位などで指圧治療もした。私の畳による治療院ではありえない場所での施術は、指圧師と患者の姿勢や位置に関して大変な参考となった。加えて、私は全身指圧を基本として時間を気にしない治療院の経営をしているが、短い時間内に治療効果を出すという指圧研究にも役立った。

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銭湯にて先輩指圧師の指圧治療を見学する様子

文京区の銭湯で指圧ということもあり受け手は「伝通院前の浪越さん?」と聞いてくることもあり、「はい。日本指圧専門学校卒業生の指圧師です。」と答えると自ずと会話も弾む。まだサウナがあった頃に浪越徳治郎先生の指圧治療を受けた方から会合や寄り合いで一緒にお酒を飲んだことのある方、日本指圧専門学校の学園祭で座位指圧やチャリティー指圧を受けた方、礫川マラソン大会後に指圧を受けるのを楽しみに走っている方など様々な人に指圧を通して触れ合うことが出来ました。

何度か銭湯指圧に参加していると顔見知りもできて、風呂へ入る前に「今日もお願いします」と声をかけられることもあります。指圧があるから来たという方や、指圧イベントの開催日をチェックして何時も行く銭湯以外まで来てくれる方までいて、普段の指圧治療では会えない人達に施術が出来て勉強になり楽しめた。もちろん、初めて指圧を受けるという方でもスッキリとして帰ってもらい、次回に会った時も再び指圧を受けてもらい喜んで頂きました。

また、先輩の指圧師と組む(無料指圧の時間は、男女共に2人きりになる)ので、指圧実技をはじめ疾患への治療方法や方針などを実践しながら学ぶことはもちろん、指圧師としての体験談、治療院経営から税務などの相談、手技業界の最新情報、医療従事者の未来像など、聞いたり話したりするだけでも貴重な時間を得たと言えよう。

そして、無料指圧の終了後に天井の高い銭湯の湯船へ入り汗を流し、風呂上りのビールを飲むことが格別なのは言うまでもない。平成20年度に文京区内の銭湯で無料指圧サービスを受けた入浴者の人数は、合計1,968名と大盛況で銭湯活性化の支援が出来た。

平成21年5月に、2年目となる文京区内の銭湯での無料指圧が実施されました。1年だけの単発的なイベントではなく、2年目を迎えたのは指圧師にとっても意義のある事であると感じている。異業種である銭湯と指圧という組み合わせも、実に面白い体験であり経験でもあります。

今年は日程調整を任されたので新卒の指圧師を中心にシフトを組み、必ず先輩の指圧師と一緒になる様にして指圧師の活性化も考えてみた。世代を超えた指圧師が同じ空間で指圧治療することにより、指圧の心を深く認識していくであろうと。当然、私も先輩や同期、後輩の指圧師と一緒に組んで無料指圧の合間に、指圧談議を交わし切磋琢磨しながら指圧治療を楽しみました。

自宅開業をしている私にとっては、個人だけでは経験できないことも体験できて、第一線の指圧師と情報交換が出来るのも有り難いことです。

引き続き、銭湯での指圧をはじめ、日本指圧専門学校同窓会や日本指圧協会、指圧のイベントやボランティア、奉仕活動、研修会、勉強会、懇親会などに率先的に参加して、あらゆる角度から大いに楽しく指圧を探求して参ろうと思います。これら全ての経験が、指圧道へ向い続いていると確信しながら。

同門の指圧師が、大いに楽しく指圧が出来たなら幸である。

五本木指圧研究所(月足弘法:49期)
〒153-0053 東京都目黒区五本木1-38-13
03-5722-8016  gohongi@shiatsukenkyujo.com

著者について

五本木指圧研究所 月足弘法
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