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イベント報告

海外指圧セミナーレポート オランダ編 -後編-

2008/10/9 日西指圧学院 院長 小野田茂

今回のセミナーより

今回は、浪越指圧をベースに教えているCSMBK(マッサージと芸術文化アカデミー)主催の2日間セミナーに招待されました。この学校には、20年間主任プロフェッサーとして教えている宮本先生(日本指圧専門学校23期卒)がいらっしゃいます。先生はオランダ人の奥様と、アムステルダム郊外に25年の歴史を有するクリニックを所有し、一週間のうち3日間を患者さんの治療、後の2日間を学生に指圧の指導をしているとのことです。

指圧を学ぶにあたりヨーロッパ人の特徴として、理論が先にあり、頭で納得した時点でテクニックを習うというメカニズムになっているようです。日本の先生がヨーロッパに来て教える際、限られた時間のレッスンですので、出来るだけ実習の時間を割き指導することを念頭におきます。私などは、理にかなったセミナーの順番なのですが、ヨーロッパ人には、ちょっと戸惑う教え方のようです。「頭ではなく手で覚えろ」「黙って見て覚えろ」という発想は、よっぽど日本で長く住んだことのあるヨーロッパ人、武道を習っている外国人を除いては無理のようです。鍼の学校、オステオパシーの学校、果ては、医学部まで理論漬けの教え方がはびこっています。こんな所に、日本人の職人意識重視とのギャップがあります。特にコミュニケーションにおいて、ヨーロッパでは、「心」重視のアジア人と異なり、「言葉での表現」この事につきる訳です。その国に馴染み、生きるということは語学力なくしては存在しないということです。要は無口では先生は出来ないということであり、言葉なくしてコミュニケーションは成り立たないということです。これから外国に行き手技療法を種にそこに生活したいことを望む夢と希望を持った若者がいたら、語学力が外国で生きるための最低の条件であり、また、“YES”“NO”をはっきり言えることもしかりです。

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オランダセミナー講義風景

他の招待者として宮下先生(日本指圧専門学校29期卒)もいらっしゃいました。先生も15年(オランダ在住)のベテランで、アムステルダム市内のオークラホテル内の指圧マッサージクリニック「たちばな」の治療師として活躍しております。治療の他にクラスを持ちオランダ人に指圧を教えています。もちろん二人とも語学は、英語、オランダ語と堪能で、また、大変ウイットのあるサムライ達です。

今回、会場となったカルチャーセンターは老人クラブなどの人達を積極的に集めてストレッチを含めた独自のレッスンで多くの老人を指導しています。そのような事も考慮して、セミナーの内容は、老人のための指圧、大腰筋のストレッチング、腓腹部のマッサージの重要性etcなどを三人の日本人が約50人の参加者達にレクチャーしました。ヨーロッパの老人は、下半身が弱く、血液循環悪化のため静脈瘤などの症状も多く、このテーマは参加者の関心を呼びました。足首の回転運動、アキレス腱両側の指圧は大変重要なゾーンと言えます。こちらに住んでいる指圧を職とする日本人女性も6名程参加され、指圧を通じて日本文化をオランダ人に紹介する事ができ、大変有意義なセミナーでした。

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ベロニカ先生の実技講習

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ヨーロッパで活躍するOB達

セミナーを終えて

オランダは北欧に位置し、夏は大変日が長く、夜の11時まで、朝は5時頃から明るく、また冬は日も短く、大変寒い気候のため、精神的ストレスを患っている人も大変多く、そんな人達の薬の多用の服用が問題になっている昨今です。このような現状を踏まえて精神的ストレス疾患のための指圧における治療テクニックも参加者にレクチャーしました。

色々な指圧がヨーロッパにありますが、リラックス、ストレス解消だけの慰安的な指圧ではなく、治療としてのより高度な、また日本文化の一つである指圧をオランダのような古い伝統を大切にし、モダンな事をいち早く取り入れる気質をもつ人達に日本の伝統治療である指圧を正確に伝える事の使命感を感じつつ三人の日本を離れた指圧師が一同に会し指導しました。

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