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行事のご報告

平成28年度 通常総会・懇親会(新入会員歓迎会)記念講演 市川きみえ先生

2016/12/21

平成28年度 通常総会・懇親会(新入会員歓迎会)記念講演 市川きみえ先生

日 時      平成28年6月12日(日)
会 場 ホテルメトロポリタンエドモンド 3階

 

○司会 それでは、皆様、お待たせいたしました。

本日の講師、市川きみえ先生の経歴を御紹介させていただきます。市川先生は、広島県福山市でお生まれになりました。大阪市立助産婦学院を卒業後、大阪市立母子センターにて6年間、大阪府の正木産婦人科にて18年間、助産師として勤務されました。この間、約2,100人の赤ちゃんを取り上げられました。その後、日本赤十字北海道看護大学、名寄市立大学にて計4年間、講師を務められておられます。立命館大学大学院の修士課程を修了され、人間科学修士を習得されました。また、正食協会マクロビオティック師範科を卒業されておられます。そして現在、奈良女子大学人間文化研究科博士後期課程に在籍中でございます。

先生の助産院、バースカムイとは、神々の誕生を意味いたします。また、今回の会報では、このバースカムイの名前を間違えまして大変申しわけございませんでした。

それでは、「なぜ自然出産か」と題しまして、市川きみえ先生、講演をよろしくお願いいたします。(拍手)

 

○市川きみえ先生 初めまして。助産院バースカムイの助産師の市川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

今日は、こういった場でお話をさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、御多分な紹介をありがとうございました。

そうしましたら、お話のほうに入らせていただきます。

今日のテーマは「なぜ自然出産か」というテーマにさせてもらいました。といいますのが、話の中にも出てきますけれども、やっぱり出産、本来自然のものであるにもかかわらず、今のお産は、日本のお産というのはかなり医療化が進んでいまして、でもその中で私が大阪府八尾市の正木産婦人科で18年間勤務したのですけれど、その間に自然出産に触れ、本当に尊い命の誕生を知るその場というものが、やっぱり自然であることの意味は大きいなというふうに常々考えておりまして、今もそのことを多くの人に伝えていけるかなと思って大学院の博士課程にも、この年でまた学生もやり直し、そして助産院のほうも開設させていただいてございます。

それでは、お話をさせていただきます。

まず、指圧学校でお話をさせていただくということで、一体私は何をテーマにどこに視点を定めて、皆さんにどう聞いていただいたらいいのだろうということをまず大分悩んだんですね。そこで、指圧と助産の共通点、まずそこかなっていうふうに思って、私なりの解釈です。だから、指圧のことは、実は私は全くわかりません。全然違うことを言っているかもしれないんですけれども、でも、もし違うというあたりは後で御指摘いただいて、私なりの解釈でちょっと聞いてみてください。

指圧も助産もどちらも医療行為ではないっていうか、じゃないのかなと。医療従事者ではあるけれども、直接の医療行為ではないのじゃないのかなと。ということで、何をするんだろうと思ったら、まず目で見る、「みる」が観察の観ると診察の診る。そして、まず目で見て、手で触って、手でやっぱり観察をして、診察をして、この「みる」っていうのは看護のみるですけれど、でもやっぱりそこで触ってというんですかね、ケアする、そういうものかなと。そして、もう一つが大事なのが、心で見る。目と手だけじゃなくて、心で見るのかなと、それもやっぱり心で観察し、心で診察し、心で見るのかなと。そうすることによって各器官が正常な働きを促して、そしてそれが健康のレベルアップにつながるのではないかなというふうに、私が助産をしながらずっと、私はこれを常に常に念頭に中心に置いてやってきましたので、きっとそれは指圧も一緒なんじゃないのかなというふうに思って、まずここに上げさせていただきました。結局、目と手と心で身体に備わった自然の力を引き出して機能を発揮させる、そういうことではないかなということで、そこを私の中で中心に、これからのお産のほうの話の展開に持っていかせていただきたいと思います。

ということで、私は自然の力で産んで生まれてくる、やっぱりその中にすごく豊かなものを見てきたのですね。ということで、自然の力で生まれる豊かな出産、それをキーワードにこれからのお話を展開させていただきます。

まず、この写真を見てみてください。これは赤ちゃん、生まれてどのぐらいの時間がたっているでしょうか、と思われますか。

はい。

○同窓生:1分ぐらいでしょうか?

○市川きみえ先生:1分。はい、ほかに。

というか、ではその根拠は。

○同窓生:何となく。

○市川きみえ先生:ああ、何となくですね。はい、ありがとうございます。

ちゃんとタイムをはかってないので、正直何分かはわかりません。けれども、もう直後だということは間違いないです。

ここに顎がある。これお母さんの顎なんですよ。だから、赤ちゃんはお母さんの胸の上に腹ばいになっているんです。

○同窓生:ああ、そうですか。

○市川きみえ先生:はい。だから、赤ちゃんが生まれたらすぐお母さんの胸に腹ばいになってすぐもうだっこしてもらう、それを最優先しています。そうすると、赤ちゃんは安心してそんなに泣かないですし、こうやって周りを見ているのです。周りの様子を見て、大体お父さんとかお母さんたち、声かけしていますから、そしたらそっちのほうに向くとか、それにやっぱり反応するんですよね。本当に瞬間、瞬間なんですけど、こんなふうに笑うんですよ。とすると、このお母さんの顔、どうだと思いますか。どんな顔されているか、想像してみてください。やっぱり倫理的な問題もあるので、お母さんの顔をここでアップするわけにはいかないんですよね。だけど、恐らく想像の世界の中で御理解いただけるんじゃないかなというふうに思っています。

自然出産、どうやって目と手と心で、どうやって私は自然出産に、多くのお母さんたちに自然の力で生まれるお産をというふうにもう取り組んでしばらくたってからですけれども、お母さんの顔と赤ちゃんのこういう顔を見るようになり始めてからですね、もうこれだなって、これを一人でもたくさんの赤ちゃんにこんなふうに生まれてほしい。そのために目と手と心をどう使うのか、それにもう集中して助産をしてきました。

そして、それを2011年ですかね、今から5年前に正木産婦人科をやめて、ちょうど正木産婦人科で勤務している間に一応大学院の修士課程で修士を取って、北海道に移って大学教員を4年やったいたのですけれども、そういうものを伝えていきたい、これから看護師、助産師になっていく若いこれからの人たちにこれを伝えたいと思って教員になったのです。でも、学生を実習場に連れていくと、そういうお産を教えないので、学生にはその顔を見れないというか、そこでちょっと心が折れたりなどもありまして、やっぱりもうこれは開業して、自分で何とか本当に伝えていく方法をと思って、私は今、北海道の旭岳、北海道の中心にあって、北海道の一番高い山なんですけど、この旭岳という山が好きで、この麓に助産院バースカムイを開設したわけですね。

旭岳っていうのは、アイヌ語でカムイミンタラ、それを日本語に訳すと神々の遊ぶ庭っていうんですね。この山には神々が遊んでいるわけです。そして、私はこれ御来光、朝日が出たばっかりのところなんですけど、この旭岳から出てくる朝日が好きで、好きというか、あるとき出会ってしまって、もうこれだなと。そして、バースカムイのロゴもこんなふうになっちゃったわけなんですね。そして、結局何が言いたいかといえば、赤ちゃんの誕生というのは旭岳から上る御来光のように神々しい光なんだと。先ほどの顔は、私にとってはこの旭岳から出る御来光にダブるわけです。それで、ということで名前もバースカムイ、神々の誕生という助産院の名称もでき上がったという、そういう流れです。

それで、今日はこちらの指圧学校の同窓会ということで私もお話しさせていただいているんですけど、実は6月12日、私、去年の6月12日に助産院バースカムイの開院届けを保健所に提出しました。だから、今日をもって私も開院1年なんです。(拍手)また、こんな日に講演をさせていただくことを本当に光栄に思っております。ありがとうございます。

そして、最初にお話を始めたときにこのことをお伝えしたいと思ったのですが、現在の日本のお産事情なんですけど、出産場所が戦後、施設化していきまして、現在では病院、産婦人科というか産科医のいるところでのお産が99.1%。そして0.7%が助産所、そして自宅その他ということで0.2%なんですね。だから、ほとんどがお医者さんのいるところで、産科医のいるところでお産ということにはなっているんですけれども、それで、どんどん出産の施設が集約化していくわけです。だから、集中して1カ所の場所でお産をしようという、もう本当に何年か前までは地域に個人のクリニックがあって、クリニックでお産をするとか、助産所もあってということだったんですけど、もうどんどんどんどん1カ所の病院で集中的にやりましょうみたいなことになっちゃって、だから、もう本当に北海道なんかではこの集約化が進んで、出産できる場所が、施設が偏在して、お産難民というんですか、もう自宅から出産できるところまで2時間とか、2時間以上もかかって健診にも通い、さあ、陣痛始まりました、入院しますっていう、そういうところがもう本当に、そういう地域がほとんどっていうことなんですよね。

その中で何が起こってきているかということなんですけど、医療介入の増加。ですから、まあ、これは北海道に限ることではないんですけれども、どんどん帝王切開率は上がっていっています。要するに、より安全にという、命を助けるっていうことで、ちょっとのリスクがあろうものなら、もう全て帝王切開しましょうっていうことがどんどん進んでいって、これ骨盤位っていうのは逆子なんですけど、逆子のお産、多胎、双子とか三つ子とか、そういうお産、三つ子なら、まあ、ほぼめったにないケースですし、リスクがかなり高いから全然帝王切開でもいいんですけど、双子ですね。そして、あと一度帝王切開したらもう慣例的に皆帝王切開なんですね。それが、私が助産師になったころ、資格を取ったときは、そのころはまだそこまでもなかったんですけど、もうここのところ本当にもう慣例的にみんなやりましょうということで、どんどん進んでいます。

そして、陣痛促進剤のほうも、これは私は大阪ではあんまり気づかなかったんですけれども、北海道に行って、2時間以上かかるようなところに住んでいる場合には、もう病院のほうで出産する日を決めて計画的に、だから陣痛が始まってから病院に行ったら、もう途中で生まれてしまう。その危険があるので、もう予定日前でも、37週、予定日の3週間前から正期産になるんですけど、正期産になったらいついつ入院しましょう、計画分娩しましょうというのが通例になっている。その状態がとにかく私、北海道に来て、教員になって学生を実習に連れていったときに、その現状を目の当たりにして心が折れたっていうか、なんですけれども。とにかく、ということで促進剤使う。あと、会陰切開のほうも慣例的に行っていたり、あと最近無痛分娩、お薬で痛みをとるっていう分娩っていうんですかね、そういうのがどんどん進んできています。

そんな中で、お医者さん、産科医はどんどん減っていく。だから、余計集約化する。もういろんなことが悪循環になっているわけですけどね。それに、産科医の先生たちもやっぱりリスクを抱えるお産はやってられないということで、どんどん不妊治療のほうに産科医の先生たちがシフトしていく。もう本当に、もっともっと挙げれば切りがないことがいっぱいあるんですけど、大きく言えばそのぐらいでしょうか。

これちょっと前のデータになるんですけど、2011年のものです。

帝王切開率は約19%。5人に1人というか、5回に1回が帝王切開なんですよね。でも、WHOのほうは何て言っているかというと、世界中どこでも帝王切開率は10%以下が望ましいと。10%、15%を超える帝王切開が行われることは正当化されないという、WHOのほうがそういうふうにもう言っていますね。でも、世界中でもどんどん帝王切開率が増えているところはあるみたいですけれども、日本の現状としてはそういうことです。

冒頭に私が正木産婦人科で自然出産、どうやって皆さんに自然出産してもらおうかということで取り組んできたこともちらっと触れたんですけど、正木産婦人科で私が働いていたのは1993年から2011年なんですけど、その間、大体1%未満、1%を超えることもあったかもしれないけど1%前後でしたね。ほとんどないんです。それはなぜかというと、やはり助産師が助産師として、助産師の仕事というのはいかに正常に持っていくかということが仕事ですから、助産師としてもそういうことをやってきましたけれども、やっぱり正木院長は、なるべく帝王切開は避けたいという院長の思いもあったんですよね。

実は、正木院長先生っていうのは逆子の名医です。本当に赤ちゃんが生まれてくるぎりぎりまで助産師が見ているんですけど、もうお尻っていうか、出てくるぐらいまでは見ているんですけど、でも最後の最後にやっぱり先生が娩出するんですよね。その技が鮮やか、きれい、すばらしい。もう間違いはないっていうか、そんなことだったですし、もちろん双子も帝王切開しませんし、1回帝王切開しても、やっぱり1回目の帝王切開がどういう適応だったのかっていうことはもちろん考慮には入れられますけど、ほとんど皆さん、1回帝王切開しても、その後ちゃんと経膣分娩で産まれていました。そのためにどんな注意を払ってきたかという、かなりの注意を払いながら、安全に安全に、でも体にはメスを入れないっていう、院長がよく言っていましたけど、一度やっぱりメスを入れるともう次に、1人の女性がたくさんの子供を産む可能性が減ってくるっていうことですよね。やっぱり3回以上帝王切開はしないですし、そもそも1度帝王切開したら、また次に産みたいとか、そういう思いとかもちょっと減ったりとかいろんなことがあるので、そんな思いで見てきました。だから、その間には双子の逆子、2人とも逆子の赤ちゃんも経膣分娩で生まれたのも見てきましたし、もういろんな事例を見てきましたね。

そして、妊娠、出産っていうのは女性にとって命をつなぐための命がけの営みで、それはとっても本当に大きく大きく深い深い体験なんですね。ですから、本当に最高、至高体験というんですかね、本当にもう至福に満ちた体験、自己を超えた体験にすることもあるけど、逆にちょっとのことですごく傷ついてしまうっていうことがあるんですよね。だから、どっちにもなり得る、ちょっとのことでなり得るってことですね。

あとそれ以外に、ちょっと後で事例も紹介しますけど、偶然の出来事、偶然にそんなこともあるのかなって、神様がそうしたのかっていうような、そんな本当に神様がいるのかと思うような、ちょっと何て表現したらいいのか分からないんですけど、そんなこともありました。

とにもかくにも命の誕生というのは全ての根源だと私は思っているんですけど、女性が至福な出産をできるっていうことで、赤ちゃんが旭岳から出る御来光のように神々しく生まれることはとても重要です。

そして、ちょっとだけ私、特に登山家っていうわけではないんですけど、やっぱり山は登るっていうことと、これも兼ね合わせてちょっとだけお話しさせてもらいたいのが、先ほどの旭岳、ロープウエーがあるんですけど、登山口のところにあって、ロープウエーを降りたところに姿見の池っていうのがあるんですけど、これ、3年前の6月16日に登って撮影したんですけど、こういう、実はここが山頂なんですね。ここが山頂で、ここを登っていくんです。ちょっと上がったところはこういうふうになり、そして山頂がこんな感じなんですけど、やっぱり自分の足で登り切るっていうことがすごく大事。この日はとっても天気がよかったので、山頂が見えたんです。山頂が見えるから目指せるんですよ、みんな頑張ってね。天気もいいし、気候もいいから体調も軽いし、登れるんですよ。でも、お産って実はこんな日ばっかりじゃない。お産じゃない、登山もこんな日ばっかりじゃないんですよね。こんな日に会えたらいいわぐらいの、大体天気が悪くて、いやぁ、山頂も見えへんし、どこに向かって歩いていくんだみたいな、それにはやっぱり危険も伴いますよね。そして、最短コースとしてはここをこう登るわけですけれども、場合によったらここは登っちゃいけない、やっぱり違うルートで登りましょうとかね。そういうこともあるわけですよ、安全のために。そうすると時間もかかったりするわけですけどね。でも、違うルートも考える。そして、いや、やっぱり今日はやめておこうというか、今日は休もうとか、途中まで行ったけどちょっとそこで休憩しようとか、いろんなことがあると思うんですけど、お産も一緒なんですよ。もう最初から頂点目指して、この時間までにここに、何月何日この時間までにここに登り切るぞみたいな、そんなの無理です。でも、今のお産は何かそんなふうなんですよ。

そして、だから、こんなことを医療者の私が言っちゃいかんのですけど、医療者が足で登らそうとしない。医療者の都合でここに連れていってしまう。でも、ここに行ったときに、この景色はこういう、山頂から見える景色はこうなんですけど、ちょっと違う日のは、季節が変わってこれ9月なんですけど、それにしても山頂からこういう景色が見えるわけですよ。もうこれ、自分の足で登り切ってこれを見ると、自分の下には雲があって、向こうの雲のすき間からちょっとまた違う山が見えてとか、そうするわけなんですけど、もう何ていうか、ちっぽけなことどうでもええわなみたいな、ただただ、自分は自然の中で生かされている一つの存在でしかないっていうか、何かそういう、ただそういうものを感じるだけっていうか、でもそこに本当の喜びがあるわけですよね。だから、そういうことも本来は出産でも目指すべきなんじゃないかなと。

そして、助産師はガイド役というふうに書いたんですけど、やっぱり本当に今、安全なのか、安全だから上に登ってもいいのか、今引き返さないといけないのか、違うルートを探さないといけないのか、その次の天気はどういうふうに変化するのか、そこも全部キャッチして、山頂に導くっていうのが私ら助産師の仕事なんだなというふうに、自分も山を登りながら、お産をしながら、重ね合わせて思っていました。そんなこともあって、本当に旭岳の麓っていうところにバースカムイは開設したわけですね。

そして、今度はちょっと研究の話になります。

豊かな出産体験ということがキーワードですから、正木産婦人科で出産をお手伝いさせてもらいながら、豊かな出産というものに対して調査をしたわけです。出産体験というのは、母子関係とか母子の精神の健康というか、その後の人生に影響するので、そういうことで医療介入の少ない正木産婦人科で助産師として出産にかかわってきた立場ということで、豊かな出産というのはどういうものなのか、質的、量的に両面から体験内容を調査しました。

それで、まずは量的研究っていうかアンケート調査をしたんですけれども、ちょうどこれ2007年に調査したんですけどね、大体半年かけて。そのとき227名の赤ちゃんが生まれているんですけど、その間にもちょっと紹介させてもらいたかったのが、正木産婦人科はこのようにその227人のうちの帝王切開は2人ですね。医療介入したのが、例えば誘発とか、誘発というより促進ですね。大体陣痛が弱くなるからちょっと薬を追加しましょうかというとこら辺で、20%ちょっととかそんな感じで、あとは出産は、出産のスタイルを分娩台の上であおむけじゃなければならないということではなくて、フリースタイル出産というんですけど、ちょっとあおむけじゃなくてもいいようなスタイルでお産をしていた。その中で、出産体験尺度というものを使って調査をしました。

このスケール、出産体験尺度、CBEスケールというのは18項目あるんですね。この尺度に出会ったときに、あっ、これで調査をしようと思ったんです。このスケールの中に痛かった、苦しかったとか、それを判断する項目がないんです。そのかわりに何があるかといえば、第1因子はまず幸福因子なんです。お産は楽しかったですか、気持ちよかったですか、幸せな気持ちでしたか、すぐまた産みたいと思いましたか。こんな項目のある心理尺度を発見しちゃったんですね。いや、これだわって。だってお産ってそもそもこれですから。だから、そしてそれ以外にも、ボディーセンスといえば自分のペースとかリズムを感じられましたかとか、そうですね、自分の体の中で起こっていることがわかりましたかとか、自分の体の感覚としてちゃんと自分の体を感じるっていうか、そういうお産だったかっていうのが第2因子ですけど。また、第3因子っていうのも発見ということで、これも興味深いんですけれども、お産をしたことで知らなかった自分に出会えたという気持ちがしましたか。どんな感じなのかと思いますけど、そんなことだって。だから、要するに出産することで新たな自分が生まれるっていうか、出産ってそういうことですから、発見因子というのがあるのかなと思っていたんですけども。お産は自分を見つめることだと感じましたか。お産の間、自分の境界線がないような気持ちになりましたか。あと、何か大きな力が働いていて、それに動かされているような気がしましたか。お産の間はこんなこともしていたというように、自分の行動に驚きましたか。それから、知らなかった自分をそれで発見した。あとは、ありのままということで、何か自分を押し殺してじゃなくて、本当にありのままに声を出したり、感情を出したり、ありのままの自分であれ、そういうことですね。そういった項目、とにかく18項目あるんですよね。いや、もうこれを使って点数化してみようと。だから、はいなのか、いいえなのか、いや、こんなんちょっとその質問わからないわっていう人は、はてなをつけてもらうのもいいんですけど、いずれにしても明らかに、はいっていうのがどうなのかっていうことを、産後、入院中の5日間の間に書いてもらいました。

そうしたところが、有意差ということで出てきたのは、やっぱりお産のスタイル、医療介入の裂傷がありましたかっていうことを中心に見ていったんですけど、ちょっとここは簡単にはしょりますけど。次のスライドをじっくり見てもらいたいかなと思いますので。

まず、出産するときの体位ですね、姿勢、姿勢によってこれ点数違うかなと。これがだから18点満点なんですよね。これ、ここ18項目あるから。18点満点で計算してみたんです。計算というか出してみたんです。そしたら、出産のスタイル、この座位っていうのが正木産婦人科はちょっと背中を上げて、座位って座ってしまうわけじゃない、ちょっと背中は半座位なんですけれども、そういう分娩台を使っていましたので、この座位っていうのが実は分娩台に乗って姿勢を整えて出産するスタイルで、あとは分娩台に乗ってないんですね。側臥位、四つんばい、仰臥位、そこら辺で、大体分娩台に乗らなかったらこのどれかですから、これで見てみるともう断トツ四つんばい。やっぱり自然の仕組みですよね、やっぱり自分で体を起こしてっていうのがわかるかと思うんですけれども。あとは横向きだったり。上を向いて産むのと、足は固定されないですけどね。それと、分娩台に乗るのではあんまり変わらなかった。でも、上向きのほうが若干高いかなと。だから、やっぱり分娩のスタイルによって違うっていうことですね。

そして、次に、これが私、とっても興味深かったんです。会陰切開って、ほとんど初産だったら切開入れるっていうところが多いわけですけど、でも正木産婦人科ではどうしても会陰切開入れるっていうわけじゃないんですけどね。それにしても、私は傷ができて縫合する、傷ができちゃったから縫合するのと、全く無傷っていうので差が出るって予測したんです。でもそれは外れちゃいました。自然の傷ができて縫合したのと、傷ができなかったのは差がない。何が差があるかっていったら、会陰切開を入れて縫合した。それが自然に、これが変わらないのに、それが断トツ点数が下がるんです。だから、いかに会陰切開を入れられるっていうことが出産体験に、会陰切開を入れるか入れないかということが出産体験に影響するんだなということがわかり、最初の予測とは違ったけど、ああ、なるほどなっていうか、ああ、そうだね、やっぱり心理的なことを考えるとそうだよねっていうふうに思いました。

そして、もう一つが出産の回数なんですけれども、これも予測を外れてしまいました。初産と2回目以上ではもう差があると勝手に私は思っていたんです。予測を立てた。ところが、初産と2人目産、あんまり変わらないんです。で、もう3回目以上の出産が、これにぐんと差ができちゃったんです。だから、出産の喜びというか、何かそういうものを本当に味わえるっていうか、そういうふうになるのには3人以上産まないとだめなんです、皆さん、みたいな感じなんですけど。でも、それもなるほどなと思いました、何か。ですね、はい。でも、あと2回目以上でくくってしまったんですけど、ということは4回目、5回目の人もいるわけですが、それくくっちゃいましたけど、あんまり変わらなかったということですかね。

そして、これは、このデータはちょっと私はあんまりこれを調べるつもりはなかったんですけど、実は調査をしていた当時、助産師が7人ぐらい勤務していたんですけれども、やっぱり就職したばっかりとか、まだまだ若手だったりとか、そういう人が2人ぐらいいたので、それを省いてある程度の年数をもう正木産婦人科で勤務している助産師が5人いて、これを調べるつもりはなかったのにすごいデータが出てしまったので、もう何か発表しちゃった、論文を出したんですけどね。助産師によっていろんなことが、どの助産師がつくかによって女性にとって変わってくるっていうんですか、出産体験尺度18項目以外に、私は出産はリラックスできるっていうことがすごく大事だと思っていたので、それは私が勝手に尺度とは別にリラックスできていましたかという項目を設けて、それも丸をつけてもらったんですね。そうしたところが、これリラックス、それからAさん、Bさん、Cさん、その助産師によってリラックスできたって答えた割合が違ってくるわけですけれども、そこでもすごいなと思ったんですけど。じゃあ、どういうケアをしているのかなと思うと、それも並行してフリースタイルの分娩介助をしている助産師に立ち合ってもらった産婦さんは、リラックスできたって言っているんですよ。これがもう完全な相関っていうかね、それに対して逆にリラックスできていたって言った人の会陰切開が入った人はもう数少ないんだけど、あんまりリラックスできたって人が少ない助産師に当たった場合は会陰切開をたくさんしているという。だから、助産師のちょっとしたケアによって、出産体験っていうのはリラックスできたかどうかっていうか、そういうことって変わってくるんだなというふうに、そういうこともわかりました。

そして、じゃあ、どういうことなのかっていうちょっと議論なんですけど、お産の生理的なホルモン、出産には生理的なホルモンが作用するわけですけど、アドレナリンがばんばん出ている、やっぱり恐怖を感じるとアドレナリンが出てくるわけですけど、だから、なるべく恐怖感、不安感、恐怖感というか、そういうものを排除するっていうか、助産師としてはね。そういう不安にさせるような要素を排除して、そうすることによってリラックス、ここリラックスが重要って書いていますけど、リラックスできることによってオキシトシンという、これ分娩を進めていくホルモンなんですけど、授乳にも、授乳、おっぱい分泌させるホルモンでもあるんです。別名オキシトシンというのは愛情ホルモンとも言われているわけですよね。だから、そのホルモンがどんどん出てくるように。そして、エンドルフィン、脳内麻薬と言われますけれども、これも、エンドルフィンも絆形成をもたらすということで、要するに愛着関係ですね。だから、オキシトシンもエンドルフィンも愛着関係っていうか、そういう絆をもたらす、そういうホルモンなんですよ。だから、リラックスできる環境を整えてアドレナリンが分泌されないような環境を整えて、そしてこういうオキシトシン、エンドルフィンが分泌される環境を整えていくっていうことが、整えることによってお産が順調に進んでいくわけです。

そして、それがそれまでのデータでわかったんですけどね。もう一つ調べてみようと思ったのは、そうやってホルモンが影響するんであれば、オキシトシンとかそういうものが分娩に影響するんであれば、きっとこれは母乳保育の継続的な効果にも影響があるだろうということで、ちょっとそれを調べてみました。まず、退院のときの母乳保育状況ですね。これが母乳だけで育てている、こっちの白いところは人工乳をちょっと、ちょっとにしても、1滴にしても補足しているっていうことで。ということで、フリースタイルだったかどうなのかっていうことを退院のときに見てみたら、ちょっと差はあるけど、何ていうかな、特に有意差っていうか、統計学上の有意差はなかったんです。じゃあ、何が影響するんだと思ったら、医療の介入がもうあるかないかによって明らかに有意差は出てきて差があるんですね。そして、やっぱり会陰切開したかどうかによっても差があったんです。

これに関して、ここ以外はすごく納得したんですけど、ああ、そうなんだっていうそのぐらいの、退院時のことはそのぐらいにして、継続的な効果っていうことを見てみたかったので、1カ月健診に来られたときに、やっぱり母乳だけなのか、ちょっとでも人工乳を足しているかということを、またそれも、ずっとこの調査のためだけじゃなくて、それもずっと調べていましたから、そのときに出産された人のことを見てみたんです。そうしたら、1カ月たったら、全体の、このときは85%が60%ぐらいになっちゃっているから、それもがくっと来たんですけど、それはこっちに置いておいて、どれもが有意差が出たんです。フリースタイルかどうか、医療の介入があったかどうか、そして会陰切開したかどうか、どれも有意差が出ているんです。それもなるほどと思うんですけど、一番大事なことは、この中でフリースタイルで産んだ人が一番母乳率が高いんです。そして、母乳率が一番低いのが会陰切開を受けた人。これが大発見でした。

いかに会陰切開をするということが、そういったやっぱり本当にホルモンの作用にも影響して、医療の介入、会陰切開とかそういうものがその後に影響していくかっていうこと。それ要因間の関係、概念図をつくってみたんですけど、要するにフリースタイル出産で、これ会陰拡張っていうのは会陰切開を入れないで自然に伸びる、会陰切開を妊婦が回避して、伸びて。医療の介入のないお産っていうのは、要するにオキシトシン、エンドルフィンの分泌が促進されていくわけですよね。そうすることによって、先ほどの18項目の心理尺度ですけど、そういったところで幸福感とかボディーセンス、愛情形成につながると。だから、その心理要因としてはこういうものが促進されて、それが要するに愛着関係ですから母子の相互作用として促進するわけですね。一方で、母親のホルモン作用が出産のときに促進されることによって母乳保育も促進されて、またそれが母子の相互作用に促進していくわけですね、愛情形成にね。そして、それが促進されることによって、またお母さんのホルモンの状態、オキシトシンが分泌されるとか、その循環になっているんです。だから、継続的な効果につながるんだよっていうことですね。

ということで、出産は母と子2人の命の営みということで、命が誕生する際には出産や母乳保育を通して愛が育まれる仕組みがちゃんと備わっているというか、だから、人間形成の基盤にかかわっていきます。

そして、あとはもう量的なデータだけじゃなくて、聞き取り調査をしたんです。お産は楽しかった、気持ちがよかった。どんなに気持ちがいいのって話ですよね。これは気持ちがいい、気持ちがいいって言われると、どう気持ちがいいのか知りたいじゃないですか。これは聞くしかないみたいなことで、至高体験、皆さん御存じと思いますけど、心理学者のアブラハム・マズローというのが自然や宇宙、あるいは神などとのつながりを感じる、恍惚な自己の体験を至高体験と名づけて、もう本当に女性の場合、悟りや啓示や洞察といった偉大な神秘的経験や宗教経験を体験しやすいような仕方で子供を産むのが一番よいっていうふうに言っているわけですけど。だから、そして本当にリラックスした産婦さんというのは、変性意識状態、意識状態が変わるんです、極期のときに。いよいよ生まれるちょっと前ぐらいから半分寝るんです。寝ているような、起きているような、起きているような、寝ているような、そういう状態になるんですね。そういうふうになった人は大体、ああ、気持ちよかったって言いますね。

そして、ちょっと登山とまた兼ね合わせてみますと、やっぱり登山も至高体験のチャンスですよね。もう山頂に上り詰めたときに本当に全く違った景色を見て、絶頂感を得るっていうか、まあ、ちょっとその登山、もし経験ある方はイメージしていただくと、お産のその至高体験というのも何となく感じてもらえるかなと思います。

そして、ここをあんまり詳しくしゃべっていると、どんどん時間が押してきますので、さらっと行きますけど、至高体験の語りっていうことでどんなことを、気持ちよかったっていうお母さんたちがどんな経験をしているのかなと思いまして聞いてみると、ううん、このAさんの場合もおもしろいんですけど、私の知らない私か、それとも神か、誰かわからないけど、息むときは今だと教えてくれた。息んでるとき真っ暗な宇宙の中を登っていくような感じで、体全体がふわふわと浮いている感じ。異次元の世界でその場にいないような感じだと。神様が息みなさいと言ったか。いや、とにかく本当に変性意識状態になっているわけですよね、意識の世界というか。砂漠の中のオアシスのような感じとか。本当に宇宙とか自然の流れに沿って自然に子供の力で生まれたような。だから、自分の力でどうこうして生まれたんじゃなくて、何かもう宇宙とか自然のそういう摂理の中で、子供の力で生まれてきたっていうのか、だから、自分がどうこうしたっていうことではないんだということで、そうですね、異次元の違うところに放り込まれたような感じとか。

そして、このEさんの言われたのにも私もすごくはっとしたんですけど、自分の中に動物的な本能を感じて、死ぬときもわかるだろうなと思ったっていうんです。自分が出産したそのときに、自分が死ぬときのことが直観でできるんだろうなと思うっていう、深いなと思ったんですけど。でも、何となく私もわかりました。

そして、このFさんにはちょっと驚いたんですけど、確かに変性意識状態じゃなくて、ハーフというか、半分寝ておられるんですけど、それにしても夢を見ていましたとおっしゃるわけですよ。いつですかって言ったら今です、今、お産していましたねみたいなことになるんですけど。いや、本当に、だから本当にそうなんです。いよいよ生まれる30分、1時間ぐらい前ですかね、赤ちゃんの頭がもうちょっと見えるか見えてないかぐらいのところから本当に半分寝ている、寝ているというのは陣痛の発作と間欠があるんですけど、陣痛が休んでいる間、本当に半分寝ている感じ。陣痛が来てるときは、全くだから意識がないわけじゃないんで、そのときは陣痛に合わせて息むんですよ、もちろんね、そのリズムなんですけど、その陣痛の間欠時っていうかおさまっているときに、そのおさまっている場面場面によって、赤ちゃんが成長していくんです。最初に見た夢は赤ちゃんが生まれて、男の子をだっこした。その次は、またちょっと成長してっていうか、子供が成長している場面がどんどん出てきて、3歳ぐらいまで成長して、公園で遊ぶ場面になったら男の子生まれた。本当に男の子だったっていうわけですよ。いや、そんなこともあるのかなと思いましたけど。でも、いかに変性意識状態だったかっていうことがわかったと思います。

そして、先ほどからちょっとエンドルフィンの話もちょっとしましたけど、お産は痛くて苦しいだけのものじゃないんですけど、やっぱり痛いんです。痛くないですよって私、自分も3回ほど経験しましたけど、やっぱり痛かったんですよね。でも、エンドルフィンっていうのは脳内麻薬ですから、痛みが極限のときに痛みを和らげてくれるんですよ。だから、それによってまた意識状態が変わるっていうか、その極限のときに出てくる。なので、やっぱり自分で自分の陣痛を感じるっていうか、それを受け入れることがすごく大事なんです。

それと、もう一つはシンクロニシティー、共時性なんですけれど、深層心理で精神科医のユングは、時間的に意味のある偶然の一致を共時性、シンクロニシティーというふうに言いますけど、こういうこともお産のときにはいっぱい起こるんです。恐らく皆さん、人が亡くなるときにお知らせ、何か誰かが亡くなったとき、夢見たとかね。恐らくそういうこと、そういう現象があるっていうことは多くの人が御存じだと思うんですよ。でも、人が生まれるときにそういう現象があるんだということは大体の人が御存じないんです、と思うんです、多分、皆さん。知っているという人があったら言っていただきたいと。でも、私はもうこれを数多く見てきました、そんなことがあるのっていうことですね。

その事例もちょっと紹介していきたいんですけれども、具体的な事例というか内容として特に多いなって思ったのが、妊娠するタイミングとか赤ちゃんが生まれる時期っていうのは、亡くなった親族の式っていうかね、弔う日っていうふうに書いたんですけど、要するに誰かが亡くなって授かったとか、ちょうど一周忌のときに生まれるとか、四十九日のときに生まれたとか、何かそういう亡くなるのと生まれるのとが何か相前後、意味のあるときに何かそういう一致しているというか、何かそれはすごくよく聞きました。後でまた事例を紹介しますけれども、もう赤ちゃんが生まれてすぐに、やあ、かわいいの後に、実はね、誰々が死んだんですよって話が出てくるわけですよ。ん、みたいな感じなんですけど、やっぱりそれを何かつなげて考えておられるわけですね、新しい命の誕生と親族の死っていうものを。だから、そういう話を色々聞いてきました。また、後で事例を紹介します。

そして、あと家族や親族の中でお誕生日が一緒って、これも結構あるんですわ。きっとこれだけの方がおられたら、誰々と誰々が一緒なんだっていうのがあるっていう方も、手を挙げていただいたら結構あるかと思いますけど。あと、誕生日が一致するというのは結構あるんですけど、珍しいのは、生まれた時刻が一緒とか、体重が1グラムも違わないとかね。これも後で事例紹介させてもらいます。

そして、あとは子供さんとか死期の近い人がいろいろと予言をするんです。子供のほうがお母さんの妊娠を先に知っていたとかね。そういうことを事例紹介しますが、ここはちょっとさっと行きますけど。

あと、本当に多いのが家族の都合のよい日にち、時間に合わせて生まれてくる、立ち会い者の都合っていうのは、家族の中で立ち合う、夫立ち会いだったら夫の都合もありますけど、医療者も含めて立ち会い者の都合ですかね。

さあ、ではシンクロの事例なんですけど、お父さんの納骨の月に御長男、御長男っていうのは4番目さんになるんですけどね、が妊娠した。私、この人の2番目さん、3番目さんを出産お手伝いさせてもらって、そして4番目さん授かった、妊婦健診に来られたときに、市川さん、できたあっていって言ってくださった、報告してもらったんですけど、この人が言った一言が、はあっと思ったのが、お父さんの納骨の月に妊娠したんだと。これは、お父さんが土に返ったからこの子が来たんだと思うと。命にはそんな循環があるんじゃないのかなと思うんですっていうふうにさらっと言われたんです。もう私、それはっとしたんですよね。ああ、そうだねっていう。そういった辺から、この方がもうそれをおっしゃって何年かになるんですけど、そういった妊婦さんとのかかわりの中から私も、そしてまたいろんな亡くなった人の話、聞くようになって、もうこれはいろんなことが本当にあるんだなというふうにどんどん私も気づいていくわけですけどね。

そして、おもしろかったのが、2番目さん、3番目さん、お手伝いさせてもらって、この方、妊娠中に、ああ今度も、もう勤務ローテーションしていますから、同じ方の出産に立ち合う機会っていうのはなかなか難しいんですけど、今度も私、お手伝いさせてもらったらいいなって言ったら、うちの子、市川さんのときしか生まれませんからってもう宣言されてしまって、いや、それわからんっしょって言ったんですけど、やっぱりそうなったんですね。

そして、あとはBさんは、長女さん、上の子供さんが生まれたときに、生まれてすぐに旦那さんのおじいちゃんが亡くなって、あっ、そのときに何か生まれ変わりってあるのかなと思ったらしいんですよ。そうしたところが、その後、お父さんが亡くなって、ちょうど一周忌の月に次の子供さん、妊娠されたみたいなんですが、その一周忌の日に、自分はまだ妊娠とか何もわからないのに、子供さんが、お姉ちゃんのほうが、お母さん、赤ちゃん、男の子って言うんだ。何この子言っているのかなと思ったら、本当にその後、自分でも妊娠かもって思って病院に行ったら、実際に妊娠していて男の子が生まれてね。ああ、この子はお父さんの生まれ変わりなんだわと思って育てていますという話でした。

そして、お父さんの、だんだん時間が過ぎていきますけど、お父さんの一周忌の翌日が予定日、そうそうそう、長男が生まれて、お父さんが亡くなられて、妊娠するわけですけど、妊娠したらちょうど予定日っていうのがお父さんの一周忌のころだったんですよ。ちょうど妊娠したころにお母さんも具合が悪くなっているわけですよね、もうだんだん何かちょっと具合が悪くなって。で、4カ月のときに結局亡くなるわけですけれども、妊娠して、お母さんのところにお見舞いというか、知らせに行くわけですよね。そしたら、お部屋にあそこにお父さんおるっていうふうな、何かだんだんそういうふうになっていったと。そういう話をしながら、そこにお父さんがいる、そしてあなたのおなかの子供はねっていう話ですよね。男の子だからって、名前は何々がいいよっていうふうに言ったらしいんですね。男の子でと言われたから、あっ、じゃあお父さんの生まれ変わりなんやねってCさんに言ったら、違う違う、この子は私の生まれ変わりだからねって言って、それから5日後に亡くなったらしいんですよ。もう何か遺言じゃないけども。ちょうど亡くなったときに、すごくその時刻に気分が悪くなったから、お母さんの魂がこの子に入ったのかなみたいな、入ったんだと思うんですよねみたいなことをおっしゃった。

そのおっしゃった、その今の話は、出産、2人目の子供さんを出産を立ち合わせていただいて、本当に赤ちゃんが生まれて、いや、かわいいっていったその次の言葉ですよ。実は4カ月のときにお母さんが死んだんですよっていう話なんですよね。亡くなった話だみたいな。そしたら、この話がもう延々つらつらと、赤ちゃんだっこしながら一部始終話されて、ああっていうふうに何ていうか、私も感慨深かったわけですけどね。

あとは、そうですね、誕生日、家族の中で先ほども言いましたように誕生日が一致する事例っていうのはたくさんありまして、ここだったらDさんが4月1日生まれで、4月1日生まれのお嬢さんが生まれ、そしてまたおばさんになるのかな、も同じ誕生日だったり、ここら辺でも誕生日が同じだったりっていうのがあるわけですけど、この人にとっては4月1日生まれっていうのがキーワードで、翌日になったら、4月2日になると学年が変わるので、私が4月1日生まれじゃなかったらこの子は生まれてないんだっていう話が、本当に赤ちゃんの顔見てすぐですよ。そういう話が飛び出してくるっていうかね。だから、もう絶対この子にも4月1日生まれの意味があるんだということをつらつらと、ここでは詳しい話は飛ばしますけど。そして、こういうことは生きていく上で本当に大事だと思います。

今度は時刻、生まれた時刻が一緒の方がいたんです。御長男のときにも私、出産に立ち合わさせてもらいました。そして、次の2番目さんが私が当直のときに陣痛が始まって来られて、そして出産されたわけですよね。ああ、かわいいねってまた御夫婦でやっているんですけど、御主人が、看護師さんは、はい、生まれた時刻ね、8時17分ですか何か言うんですけど、聞いてないからね、最初は。しばらく、ああ、かわいいねなんて言っていてから、ところで何時に生まれたんでしたっけみたいな感じで御主人が言われて、また看護師さんが8時17分ですよって言ったら、もう御夫婦で顔を見合わせて、ええって言うんですよ。何がええかなと思ったら、いやあ、上の子もなんですわっていう話ですよ。よく覚えていたねというのもあるんですけど。そして、2人とも予定日から5日後生まれでっていうことで、最後の一言が、そしてどっちも市川さんですって言うんです。ああっていう感じなんですけどね。私、何かしたんでしょうかっていうことなんですけど、だからそういうことにもう意味を持たせて、あえて私に伝えていただいた。そのことがもう私にはすごく、私の中の助産師の経験として深い深いところに喜びがまた湧いてきたんですけど。そして、おっしゃったことがみんなつながっているんですよね、人生の中で一番感動するのはお産、女に生まれてこういう経験ができてよかった。こんなこと言っちゃいかんのかもしれない、授からない人もいるからね。だけど、でも私は言いたいっていうふうにおっしゃったんです。

そして、あとは体重が全く上の子供さんと同じっていう人もいたんですけど、逆子だったんです、2番目さん。長女は違うんですけど、2番目さん、逆子だったんですね。何の問題もなくつるんと生まれちゃったんですけど、本人さんにしたら逆子のお産、本当に自分で産めるのかってすごい心配があったらしいんですけど、それにしても何もなくつるんと生まれたんですよ。そして、看護師さんが体重をはかるわけですけど、そして何グラムですって言ったら、また御夫婦2人で、ええ、なんていうから、どうしたのって言ったら、いや、上の子と一緒ですって言うんですね。えっ、1グラムも違わないんですかって言ったら、そうなんです、一緒ですって言うんですわ。御主人が赤ちゃんって生まれるとき知っているんですかねって言うから、それ何ですかって言うと、きのう生まれてもあした生まれてもこの体重にならなかったですよねって言うから、おおっ、そうです、そうです、そうですねみたいなことなんですが、後で聞いたらこの数字が生活の中にあったっていうんですよ。生活の中にある数字って何ですかって聞くと、4桁、暗証番号。電話番号とか誕生日とか、暗証番号に使わないでくださいってよくあるじゃないですか。だから、上の子供さんが生まれてから、この4桁の番号を家族の番号として使っていたというんです。もうびっくりしましたね。で、本人はこういうことがあったからつながりを考えたっていうんですが、私は助産師の立場でもう一番驚いたことがあるんです。というのは、逆子っていうのは生まれてくるときにお尻から出てくるんですけど、ぐうっと産道に圧迫されるから、必ずうんちをするんですよ。だから、出したうんちの量で最終微調整したんだみたいなね。いや、もう笑い事じゃなく、笑い事のようで笑い事じゃないっていうか、最後こうやって微調整したのかいって真面目に思い、鳥肌が立ったっていうかね。こんなことあるんだわっていうことですね。

あとは、ちょっと実家が出雲のGさんなんて書いちゃいましたが、出雲さんっていうのは縁結びの神様で、日本では有名だと思うんですけど、御実家が出雲の方が妊娠されたんです。そして、実は旦那さんのお父さんが亡くなられて、結局亡くなられた後、本人が妊娠したっていうか妊娠検査薬で反応が出て、まだ病院に行く前に出雲のお母さんに、自分のお母さんに、いや、妊娠検査薬で反応が出たから多分できたと思うって電話かけたらしいんです。そしたらね、お母さんが、予定日9月10日でしょって言ったらしいんですよ。何を根拠にそれを言うのかっていったら、命日なんですよ、一周忌。大体そんなんはよくあることってさらっとお母さんが言ったって言うんですわ。それから、病院に行って診察してもらったら予定日、はい、9月10日ですって言われたって。もうお母さんは全部お見通しで。結局一周忌の日に生まれたんじゃなくて、御主人が一番都合のいい日に、その後、何日か、かな、生まれているんですけど、そんなことで、よくあることのようだということもわかり、聞いているうちに本当によくあることだなと私もわかっていくわけですよね。

ということで、女性たちの語っている内容というのが何なのかなって、それをちょっとまとめてみると、生まれ変わりだとか、生まれ変わりじゃないけど土に返っていくとか循環、そして命っていうものがつくるものとかそういうことじゃなくて本当に授かる、与えられる、そういうものなんだっていうことだったりとか、やっぱり亡くなった方、御先祖さんから守られているっていうかね、そういうことを語っている。それはもともと日本人の宗教的な感覚としてあったよなっていうこと。そして、それを通してスピリチュアリティーというかそういうものが目覚め開花していく。どういうことかと言えば、やっぱり生と死を超えた命のつながりとか、命を授かる尊さとか、人と人とのつながりとか、そういうものですね。

自然の摂理にのっとった出産というのは、要するに自然出産というのは豊かな出産体験ということをキーワードにすると、身体感覚としての豊かさ、心理体験として、そしてプラスやっぱりスピリチュアリティーというかそういうもの、全部備わっている、備わった豊かな経験になっていくということですね。それがエンパワーメント、要するに肯定感情というか、やっぱり豊かな体験をすることによってエネルギーが得られ、社会に対して力を注ごうっていうかそういう思いになると思うんですけどね。それが一番自然出産、なぜ自然出産かっていうことの私の答えはこういうことですね。

そして、本当にほぼ最後のスライドのほうだったかなと思うんですけど、ある方が言ったんです。もうそれそのまんまです。出産ほど気持ちいいものはない。人生の中で一番気持ちがいいのが出産体験で、どんな体験よりも最高のエクスタシーだとこの人は言うわけです。なぜまた産みたくなるんだろうかと。つながりを感じたり、自分が生まれたときのことを感じたり、何よりありがたいと。誰もがこれを経験することができたら平和な社会になるのになということで、ちょっと宣伝を最後にさせてください。

私、正木産婦人科での18年間、自然出産に取り組んだものをまとめて「いのちのむすび」という1冊の本にまとめました。これをちょっと販売もしていただけるみたいなんですけど。

ということで、また最後、旭岳から上る御来光なんですけれども、今日はこういう機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。(拍手)

○司会 市川先生、ありがとうございました。

 

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